JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第337号 > 図1

図1 新技術のイメージ

図1 新技術のイメージ

 地中を通る電磁波の伝播定数γは、地中の物体の誘電率ε、透磁率μ、導電率σ(=1/ρ、比抵抗ρの逆数)、角周波数ωとする次式で表されます。
伝播定数γ2=-εμω2+jσμω    (j = √-1)

 従来の電磁誘導測定装置では比較的低い周波数ωを用いるため、σμω>>εμω2となり、その結果、εμの効果を無視して、σ(=1/ρ)を求めていました。また、地中レーダでは、高い周波数ωを用いるため、εμω2 >>σμωとなり、σμの効果を無視してεを求めていました。しかし、一様でない地下を探査対象とする場合、この中間の周波数域も考慮する必要があり、σμの効果が無視できなくなります。また、電磁誘導法や地中レーダでは、μ=μ0(真空の透磁率)として扱っていましたが、より正確な探査のためには、磁化率κの違いによる影響(μ=μ0(1+κ))を考慮する必要があります。本新技術では、3つの物性をそれぞれ同時に測定し、合理的に3要素の影響を計算することにより、地下探査の精度を向上させることができます。