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別紙1

平成18年度 研究者情報発信活動推進モデル事業 採択課題及び概要一覧

課題名 チーム
リーダー名
所属機関 課題概要
アートによる複雑系科学の表現モデルの開発 池上 高志 東京大学大学院
広域科学専攻
広域システム
複雑系概念の基礎となる知識(力学系、カオス、進化アルゴリズムなど)のエッセンスをアート作品を通して伝えるモデルを開発する。
複雑系としてテイラー乱流発生装置による流体の乱流化現象を取り上げ、進化アルゴリズムを組み合わせて可視聴化しサウンドアート作品として提示する。これによって複雑系のコンセプトを表現し、それを体験することで科学はアートでもあるというメッセージを伝える。
高校生と連携した科学コミュニケーションモデルの開発 伊藤 悦朗 徳島文理大学
香川薬学部
高校生を介して小中学生に最新の研究成果と理科の楽しさを伝え、小中学生や保護者と研究者との双方向コミュニケーションモデルを開発する。
ミツバチの8の字ダンスを題材に生物学の最新の研究成果を高校生が一般市民に紹介するための教材を使用して、高校生が小中学生や保護者へ分かり易く説明する。参加者と研究者との双方向コミュニケーションシステムを構築し、他の研究者への普及を図る。
日米協力体制による研究者自身からの研究情報発信のモデル開発 大島 まり 東京大学
生産技術研究所
日米両国の協力により、日本社会の現状に合わせた研究者自身からのアウトリーチ活動モデルを開発する。両国の研究者等によるシンポジウムを開催して意見交換を行い、両国の社会的文化的差異を踏まえたアウトリーチ活動に関する共通点・相違点を把握し、その知見を基盤として研究者、教育委員会、科学館の連携により日本社会の現状に合わせたアウトリーチ活動を行う。そして、さらなる発展を目指して両国による連携体制を構築する。
素粒子実験用大型装置を用いた体験型学習モデルの開発 片岡 佐知子 奈良女子大学
大学院
人間文化研究科
参加者自らの実験活動と研究者との直接対話によって、自然科学者の研究活動を体験できるモデルを開発する。
具体的には、素粒子実験用大型施設でサマースクールを開催し、研究者の指導のもと実際に検出器を使って宇宙線のデータを取得、解析する。得られた知見を素粒子について直感的に理解するための教材開発にフィードバックする。
科学コミュニケーション能力育成プログラムの開発 小林 傳司 大阪大学
コミュニケーションデザイン・センター
若手研究者にアウトリーチ活動の重要性を理解させ、社会から「信頼される専門家」として育成するため、科学コミュニケーション能力育成プログラムを開発する。
具体的には、大学院生を対象として、アウトリーチに関する課題を把握する講義、異分野との交流により自らの専門分野の特性を把握する演習、市民対話を組み込んだ演習、さらには個々人のアウトリーチ活動の実践支援やNPOと協力したコミュニケーション・ネットワークの構築を目指しながら、科学技術コミュニケーション能力の育成を図る。
指導者養成機能を持つNPO連携アウトリーチモデルの開発 柴田 晋平 山形大学
理学部
研究者がNPOとの連携により、研究者と市民をつなぐための人材を養成するモデルを開発する。
天文学の基礎知識や最新の研究成果と、市民に身近な星座などの知識との両方を持つ指導者養成システム(テキストの作成、講座の実施、「星空案内人」の認定)を構築する。NPOと連携したアウトリーチ活動モデルを確立することで、他の分野や地域でも同様なモデルの実施が期待できる。
岐阜県の地質を題材とした野外でのアウトリーチ活動モデルの開発 束田 和弘 名古屋大学
博物館
正しい自然観を備えた自然誌ファンの育成を目指して、フィールドでのアウトリーチ活動モデルを開発する。
市民参加のフィールドセミナー「地球教室」を開催し、研究者自らが参加者とともに観察や議論をすることで、市民が自然について自分で考え、正しく理解する力を育成する。また、「地球教室」を小中高の教員や博物館学芸員向けに公開実施するとともに、海外の研究者、博物館員等による次世代教育に関する国際フォーラムを開催し、その普及を図る。
超小型衛星開発を題材にした学生主導型アウトリーチモデルの開発 中須賀 真一 東京大学大学院
工学系研究科
缶サイズの超小型衛星開発を通じて、ものづくりをベースにした「観客型」及び「参加型」アウトリーチモデルを開発する。
具体的には、衛星を開発した大学生が自らの実験の場を公開し解説する「観客型」モデルと、中高生や社会人が自ら衛星を製作しフィールド試験を行う「参加型」モデルを開発する。テキストの作成や衛星キットやオプション品の開発を行い、衛星開発を実施している大学が地元でアウトリーチ活動を進めるよう普及を図る。
インターネットを用いたテフラ(火山砕屑物)に関する国内・海外との協同学習モデルの開発 中山 迅 宮崎大学
教育文化学部
身近な自然を対象とした科学的かつ協同的な観察活動の支援モデルを開発する。
研究者や教師の支援のもと、国内に広く分布しているテフラを各地の中学生が観察する。さらに、海底に分布するテフラの計測を行う国際的な深海掘削計画を行う研究者の協力を得て、インターネット上のブログや掲示板を介した協同学習を行う。
インターネットによる乳幼児発達科学の在宅参加型実験モデルの開発 開 一夫 東京大学大学院
総合文化研究科
全国の乳幼児の養育者が実験者となり自らの子を対象に行動実験を行う。研究者は得られた乳幼児の行動実験データをインターネットを用いて収集・分析し、統計処理した結果を実験者(養育者)に提供する。
将来的に大規模縦断的データ収集・分析結果公表システムへと拡張することを念頭におき、本年度はその下地となるプロトタイプモデルを構築する。これにより、養育者は発達科学・認知科学への理解を深めるとともに、子の認知発達過程を客観的に見ることが期待できる。
ネットワーク型サイエンスカフェモデルの開発 福西 浩 東北大学大学院
理学研究科
研究者と市民の間の双方向ネットワークを実現するため、複数の会場をインターネットで結ぶネットワーク型サイエンスカフェモデルを開発する。
サイエンスカフェの企画は大学・高等学校・中学校・科学館・NPOが連携したネットワークにより行い、複数の会場をインターネットで結んだサイエンスカフェを開催する。これにより、地域を自由に拡大しつつ幅広い世代・職業の人々が共に参加できるサイエンスカフェを開催することができ、急速な全国的普及が可能となる。
学会・大学・科学館・小中学校の連携による最新科学技術教材の開発 堀 勝 名古屋大学大学院
工学研究科
遠隔地に住む児童生徒を対象に、学会・大学・科学館・小中学校が連携して体験型の科学技術教材を開発する。
具体的には、応用物理学会や大学の研究者が身近な理科現象を題材とした理科実験工作教材や最新科学技術を体験できる教材を開発し、科学館を拠点として遠隔地の小中学校において活動を行う。これら学会・大学・科学館・小中学校のネットワークを形成し、インターネットを活用した相互協力システムを構築してコミュニケーションを図る。
国際協力によるアウトリーチ活動のためのテキストとデータベースの開発 室伏 きみ子 お茶の水女子大学
理学部
海外の大学・研究機関との協力により、アウトリーチ活動用テキストの開発と海外のアウトリーチ活動に関する国際的なデータベースの開発を行う。
海外のテキストを参考に作成したアウトリーチ活動用テキストを小中学校での授業で実践し、日本の状況に合わせて改良し提供するとともに、海外のアウトリーチ活動について教材やシステム等に関する国際的なデータベースを開発し広く提供する。