JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第232号 > 資料1 実用化のための育成研究 平成17年度採択課題一覧
資料1

実用化のための育成研究 平成17年度採択課題一覧

プラザ
・サテライト
研究開始年度 研究課題名 申請者 研究期間(年) 研究概要
代表研究者 共同研究機関
大学等 共同研究企業
北海道 H18 ナノレベルで分散・配向・薄膜化されたカーボンナノチューブ骨格の複合体を用いた機能性材料の開発 北海道大学大学院
地球環境科学研究院
助教授 古月 文志 北海道大学 株式会社イノアックコーポレーション
株式会社ダイナックス
3 独自に開発したカーボンナノチューブの分散方法を活用してカーボンナノチューブを均一に分散した高分子発泡製品、および自動車の自動変速機用クラッチ板の実用化を目指す。カーボンナノチューブを均一に分散させることにより、機械的強度および耐熱・耐久性の向上が期待できる。またカーボンナノチューブの量産化に伴い将来摩擦材のコスト低減にも期待できる。
北海道 H18 インフルエンザウイルス感染の新規診断キット、予防薬、治療薬の実用化研究 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター センター長・教授 喜田 宏 北海道大学 株式会社プライミューン 3 研究代表者の所属する北大人獣共通感染症リサーチセンターはWHOの中核的機関として国際的なリーダーシップをとり、世界の抗原亜型のウイルスを系統保存しており、モノクローン抗体パネルを作出し、新型インフルエンザに対する研究体制を構築している。これらの抗体を用いて、インフルエンザウイルスの変異に対応して継続的にワクチンを開発し診断薬、予防薬の実用化を目指す。さらに、ウイルスによる宿主の免疫系細胞のアポトーシス誘導に関与する新たな遺伝子およびサイトカインの変異体の機能の解析により新規インフルエンザ治療薬の開発を目指す。
宮城 H18 REG遺伝子発現によるがんの予後診断法の実用化と治療薬のグランドデザインの確立 東北大学大学院医学系研究科 教授 岡本 宏 東北大学 株式会社日本遺伝子研究所
株式会社江東微生物研究所
大鵬薬品工業株式会社
3 代表研究者の発見になる、消化器がん患者の予後へ影響するがん組織でのREG遺伝子発現検出基本技術を、共同研究企業が既保有の免疫染色技術及びRT-PCRを活用し実用的な検査技術として開発する。検査法の開発、完成によりがん患者の生命予後の向上を図ると共に、RT-PCR法の特色を生かした術中・迅速診断技術システムとしての完成を図る。REG遺伝子発現患者の生命予後について医療機関と連携し、更に調査する。REG遺伝子発現制御薬剤のリード構造発見を端緒として、新規な制御薬剤候補のリード化合物の検索と合成を行い、効能を判定し、戦略的特許出願を行う。
宮城 H18 常温常圧下におけるハイドロキシアパタイト厚膜形成法の開発と新しい虫歯治療への応用 東北大学大学院工学研究科 教授 厨川 常元 東北大学 株式会社仙台ニコン
株式会社サンギ
3 申請者らはアブレイシブジェット加工法を共同研究してきた中で、粉体粒径をあるサイズ以下にすることにより材料の除去作用から、付着作用に変わることを明らかにした。この現象を応用し、室温、大気圧環境下でハイドロキシアパタイト(HAp)微粒子を、ヒトの歯の表面(エナメル質、象牙質)に高速で衝突させることにより、HAp厚膜を成膜することを試みる。HAp層は少なくとも界面に10μm厚程度設ける。本手法は、新しい生体・バイオマテリアルインターフェースを提案するもので、虫歯治療や予防歯科の分野において新しい可能性を示すものである。
石川 H18 ナノめっき技術を用いた高強度Mg系複合材料の実用化技術開発 福井大学地域共同研究センター 教授 高島 正之 福井大学 福井めがね工業株式会社
清川メッキ工業株式会社
2 ナノメッキで炭素繊維に金属との親和性を持たせ、軽量なMg系材料のさらなる高強度化、高弾性化を可能にし、高生産性な射出成形が可能な「炭素繊維強化Mg系合金」を作る。この成形技術に加え、表面処理技術を用いて実用化最大の課題である耐食性を付与し、軽量・高強度・高リサイクル性のめがねフレームの実用化技術開発を行う。
石川 H18 ヒト型トランスポーター遺伝子の新規発現系構築による薬物生体膜透過評価系の創出 金沢大学大学院自然科学研究科 教授 辻 彰 金沢大学 株式会社ジェノメンブレン 2 輸送感度や基質特異性の大幅な改善をした新規ヒト型トランスポーター遺伝子発現系の開発を行う。これを元に医薬品開発において最も障壁となる薬物動態の「人における生体膜透過の効率」、「他の動物との種差」および「他の薬物との相互作用等の情報」を簡便かつ迅速に得る薬物開発研究支援ツールの事業化を目指す。
石川 H18 脂質メディエータースフィンゴシン-1-リン酸(S1P)を用いた新しい血管新生・再生療法の開発 金沢大学大学院医学系研究科 教授 多久和 陽 金沢大学
金沢大学付属病院
中外製薬株式会社 3 体内に存在するリン脂質の1種であるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は血管内皮細胞の血管新生作用を活性化する。本課題ではこのS1Pを徐放化製剤とし、各種実験動物の虚血組織で血流改善効果を確認するとともに、S1P徐放化製剤の基剤および投与量、回数の至適化、副作用の有無などを検討し、特に末梢動脈の虚血性疾患に関する新規血管新生薬剤としての事業化を目指す。
東海 H18 光波反応制御内燃機関をめざしたマイクロレーザーの研究開発 自然科学研究機構分子科学研究所 助教授 平等 拓範 自然科学研究機構分子科学研究所 株式会社日本自動車部品総合研究所
株式会社デンソー
株式会社豊田中央研究所
3 内燃機関の点火装置用としてレーザーを用いるには、小型で高出力なレーザーを開発する必要があった。近年、手のひらサイズの半導体レーザーでメガワット主力も得られるバッテリー駆動型のジャイアントパルス駆動に成功しており、さらに出力を増大する二次元構造化の着想、実験検証も得ている。本装置をさらに改善しマイクロレーザーを用いた光波反応制御内燃機関の実用化研究を行う。
東海 H18 グラファイトとフラーレンによる超潤滑システムの実用化研究 愛知教育大学教育学部/物理領域 教授 三浦 浩治 愛知教育大学 サハシ特殊鋼株式会社
セイコーインスツル株式会社
3 これまでにグラファイト基板を化学処理、加熱処理によってC60単層膜とグラフェンが交互に繰り返す摩擦ゼロフィルムを開発した。本研究では摩擦ゼロフィルムを機械の滑動面に適用するため、大型フィルムの製造技術や機械への実装技術の開発、及び摩擦ゼロフィルムをワックスやオイルに混入した低摩擦潤滑剤の開発を目指す。
東海 H18 室内環境浄化機能を有する可視光応答型光触媒住宅部材の開発と市場創造 -高機能マスクメロン型光触媒による市場創造 独立行政法法人産業技術総合研究所中部センター
サステナブルマテリアル研究部門環境セラミックス研究グループ
グループ長 垰田 博史 独立行政法人産業技術総合研究所中部センター 岐阜県製品技術研究所
積水樹脂株式会社
3 光触媒粒子(母材)の表面を不活性な多孔質セラミックス膜で被覆した新規な光触媒(マスクメロン型光触媒)を開発し、有機材料への担持について安価で機能性と耐久性を両立できる可能性を見いだした。本研究では、最近確立された可視光応答型光触媒を母材としたマスクメロン加工の応用技術の確立と商品化を目指す。
京都 H18 機能性材料を指向した有機ヨウ素化合物の資源循環型電解製造プロセスの開発 京都大学大学院工学研究科 教授 吉田 潤一 京都大学 日宝化学株式会社 3 本研究は、国内で自給できる数少ない希少な天然資源であるヨウ素を使用する有機ヨウ素化合物の製造にマイクロ電解技術を導入し、更にヨウ素の回収循環システムに組み入れることを目的とする。
有機ヨウ素化合物は電子材料や医農薬の重要な合成中間体として広く使用されている。
従来の有機ヨウ素化合物の製造方法は、1 厳しい反応条件が必要、2 副原料や酸化剤を大量に使用する、3 収率が悪い、4 位置選択性が悪い、5 精製工程が必要、6 廃棄物が多量に発生する、7 コストが高い、等の問題があり、有効な方法とはいえない。
本研究で、1)マイクロ電解法によりヨウ素活性種を生成する技術(生成場技術)、2)マイクロフロー法によりヨウ素活性種と反応基質とを反応させる技術(反応場技術)、3)生成場技術と反応場技術とを連結する技術(集積技術)、を開発することにより、従来の諸問題を解決し、クリーンで安価かつ高純度に有機ヨウ素化合物を製造する方法の実用化を目指す。
京都 H18 次世代半導体デバイスに向けた低エネルギーイオンビームの無発散走行照射技術の開発 京都大学大学院工学研究科 教授 石川 順三 京都大学 日新イオン機器株式会社 3 次世代半導体デバイスの極浅微細接合形成のためには低エネルギーイオン注入(0.2~0.5 keV)が不可欠である。しかし低エネルギーではイオンビーム自身が持つ正電荷によるイオンビームの発散が顕著となりイオンビームの平行度の確保が困難である。また従来の電荷中和技術においてはガス粒子の混入や金属不純物の混入を避けることができない。本研究では独自に開発したオールシリコン製電界放出型電子線源による低エネルギー幅電子束を用いて正電荷量を中和することにより、クリーンな空間において半導体基板への平行性ビーム照射と電荷蓄積阻止を実現する。
大阪 H18 フレキシブル表示デバイス用TFTのための新規有機無機ハイブリッド材料の開発 大阪市立工業研究所電子材料課 研究副主幹 松川 公洋 大阪市立工業研究所
大阪府立大学
大阪府立産業技術総合研究所
積水化学工業株式会社
扶桑化学工業株式会社
大阪瓦斯株式会社
3 本研究では、申請者らが保有している有機無機ナノハイブリッド技術を駆使してTFTに活用可能な新規な機能性材料を合成し、革新的で高性能な有機無機ナノハイブリッド型TFTを創製する。電子ペーパーなどに適用可能な全く新しい材料コンセプトからなるTFTの実用化を目指す。
大阪 H18 スーパークリーンハイブリッドディーゼルのためのプラズマ複合排ガス処理装置の実用化 大阪府立大学大学院工学研究科 助教授 大久保 雅章 大阪府立大学 株式会社オーデン
ダイハツディーゼル株式会社
株式会社高尾鉄工所
3 本研究では、超低CO2、超低PM(粒子状物質)、超低NOx、超低燃費、超低コストを特徴とする、新型スーパークリーンハイブリッドディーゼルエンジンと燃焼炉の実現に向けて、貴金属触媒や有害なアンモニア等を使用せず、バッテリ電気により形成される常温・非平衡プラズマを利用した、社会的、技術的、経済的優位性の高い革新的なプラズマ複合排気浄化装置の研究開発を行い、近未来の化石燃料エネルギーシステムの革新的環境保全装置として実用化する。
広島 H18 血管病を原因とする生活習慣病新規診断薬の開発 山口大学医学部器官制御医科学講座・分子細胞生理学 教授 小林 誠 山口大学 富士レビオ株式会社 3 独自に開発した血管病評価法を用いて、血管病の主原因と考えられる血管異常収縮を引き起こす直接の原因分子として、スフィンゴシルフォスフォリルコリン(SPC)を見出している。生活習慣病の早期診断のため、SPC診断薬の研究開発を行う。
広島 H18 酸化亜鉛系薄膜成長用MOCVD装置の開発 島根大学総合理工学部電子制御システム工学科 助教授 藤田 恭久 島根大学 古河機械金属株式会社
日本パイオニクス株式会社
3 有機金属気相成長(MOCVD)により低温成長が可能な酸化亜鉛(ZnO)の成長方法による技術を用いて、高品質なZnO薄膜を生産性良く均一に、かつ安全に作製できる有機金属成長装置の研究開発を行う。
福岡 H18 高速・ラビングフリー液晶表示材料の開発 九州大学先導物質化学研究所 教授 菊池 裕嗣 九州大学
福岡県工業技術センター
チッソ石油化学株式会社
日本油脂株式会社
株式会社正興電機製作所
3 従来の液晶表示素子よりも10~100倍以上速い応答を有し、かつ、ラビングなどの配向処理が不要の新規液晶表示材料の開発が課題で、次世代の大画面・高画質および3次元立体表示デバイスへの応用展開を図ることを目的としている。
福岡 H18 生体に学ぶ:骨置換材の創製 九州大学大学院歯学研究院 教授 石川 邦夫 九州大学
秋田大学
株式会社ジーシー
有限会社ニューライム研究社
3 生体骨の主成分である炭酸アパタイトで骨置換材を創成する点が新規な課題で、相変換反応(溶解-析出反応)により炭酸アパタイトを調製する。本研究により骨置換材を実用化し、骨再建術において自家骨採取に代わる治療法を可能にすることを目標とする。