JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第231号 > 研究開発テーマ:「ユビキタス社会のガバナンス」

社会技術研究開発事業・公募型研究開発における
平成17年度新規採択研究代表者及び研究課題の決定について

研究開発テーマ:「ユビキタス社会のガバナンス」

代表者氏名 機関名 所属部署名 役職名 研究課題名
曽根原 登 国立情報学研究所 情報基盤研究系 教授 ユビキタス社会における情報信頼メカニズムの研究
玉井 克哉 東京大学  先端科学技術研究センター 知的財産分野 教授 ケータイ技術の知識不足から生じる危険の予防策
宮尾 克 名古屋大学 情報連携基盤センター 教授 バリアフリーのための応答・支援スポットの構築
五十音順に掲載
 総評 : 研究総括  土居 範久(中央大学 教授、慶應義塾大学 名誉教授)

 人類の持つ情報のすべてが情報システムの上にユビキタスに拡散し、情報システムが人をユビキタスに同定する「ユビキタス社会」の到来は、生活と社会経済活動の一段の発展が期待されるとともに、情報セキュリティの確保やプライバシーの保護などの社会的な脆弱性が心配される。その際、技術開発と従来の社会制度との整合性が十分に確保されない状況、社会科学や法制度が追従し切れない状況が生ずる。このような問題意識に立脚して、「ユビキタス社会」で必要とされる「ガバナンス」はいかにあるべきかを主題として、人文社会科学、科学技術などの知見も統合した俯瞰的な視点から問題解決の道筋を探るべく、本研究領域を設定した。
 こうした研究は従来に例がないことから、今回の公募では、6ヶ月程度の実行可能性に係る調査研究課題を対象に募集することにした。応募総数は16件と予想外に少なく、このような形態の公募に慣れていない我が国の研究者像を印象付けるものであった。9名の研究アドバイザーの協力により書類選考、面接選考を行い、最終的に3件を採択した。選考に当たっては、「ガバナンス」という視点を重視したのはもちろん、提案者の企画力、研究推進力などにも留意した。
 採択された提案者の方々には、ユニークな研究実施体制を検討してくださることを期待したい。そして、従来の研究者グループの再編成をも促すような大きな動きをもたらすきっかけを作るくらいの気概を持って推進していただければと思う。研究総括として、それに十分応えられるよう努力する所存である。