■研究領域「マクロ量子制御」の概要 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
量子力学の性質を巧みに用いることにより、レーザー光を用いて原子集団を絶対零度近くに冷却する技術が開発された。レーザー冷却された極低温の原子集団では、量子系の有する高い制御性がマクロなスケールに拡大されるため、系の性質を決定するほとんどすべてのパラメーターを連続的に変化させることが可能になる。すなわち、マクロな量子効果により、温度、原子数密度、閉じ込めポテンシャルの形状と次元性、なかんずく原子間相互作用の強さと符号、などのパラメーターを自在に制御できる大自由度系(マクロ量子物質)が実現するのである。 マクロ量子物質の未踏領域を系統的に探索するために、本研究領域では3つのグループを編成する。(1)相互作用制御グループでは、1mK以下に冷却された極性分子を生成し、極性分子間の相互作用の強さと符号を制御することにより非等方的でかつ長距離相互作用するマクロな人工量子物質を作り、そこで発現する新しい現象を探索する。(2)不確定性制御グループは、測定の反作用を制御することにより測定後の原子の量子状態を所望の状態へと変化させたり、外界との相互作用により壊れてしまった量子状態を修復する研究を行う。(3)強相関量子制御グループでは、光の定在波で作られた格子中に閉じ込められた原子系を用い、その相互作用の強さ、キャリアー密度、不純物の影響、および、次元性の効果等をそれぞれ独立に変化させることで、強相関量子系の物性研究を行う。 本研究領域においては、物質パラメーターの系統的制御という観点からは新しい強相関系の研究手法の開拓や新しい化学分野の創出につながる可能性をもち、他方、量子状態および不確定性関係の極限操作という観点からは量子コンピュータへの発展や超精密測定への応用が期待される。これにより、戦略目標「光の究極的および局所的制御とその応用」に資するものと期待される。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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■研究総括 上田正仁氏の略歴等 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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