科学技術振興機構報 第1856号

2026(令和8)年6月2日

科学技術振興機構(JST)

出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)における
CrestecBio株式会社への出資実行について

JST(理事長 橋本 和仁)は、出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)において、CrestecBio株式会社(本社:茨城県つくば市、代表取締役 丸島 愛樹、以下「CrestecBio」という)への出資を実行しました。

CrestecBioは、筑波大学の研究成果を活用し、脳と臓器を護(まも)る高分子医薬の研究開発に取り組む筑波大学発ベンチャーです。

酸化ストレス障害は、体内で発生する活性酸素種(ROS)と、それを除去する抗酸化力のバランスが崩れ、細胞や組織が活性酸素によりダメージを受ける状態のことです。酸化ストレス障害が重大な影響を及ぼす疾患として、虚血性脳卒中(脳梗塞)が挙げられます。

脳卒中は、日本では年間30万人、米国では年間80万人が発症しているとされる疾患です。中でも、脳動脈の閉塞が原因となる虚血性脳卒中は脳卒中全体の約8割を占めます。

虚血性脳卒中に対する有効性の高い治療法として、再開通治療(血栓回収療法)が広く実施されています。しかし、血栓の回収と血流の再開により、過剰な活性酸素種(ROS)が急速に周辺組織に広がり酸化ストレス障害を起こす、再灌流(さいかんりゅう)障害が課題になっています。この障害により、再開通治療(血栓回収療法)を受けた患者さんの50パーセント以上に要支援・要介護以上の後遺症が残るなど、機能予後に悪影響をもたらします。従前から行われている治療法として、活性酸素種(ROS)除去剤の投与がありますが、効果は十分ではありません。

CrestecBioがリードパイプラインとして開発する「CTB211」は、この再灌流障害を防ぐ神経保護薬です。粒径20~30nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)のミセル構造を形成する高分子により活性酸素種(ROS)を消去することで神経細胞を保護する効果が期待され、非臨床試験で有効性が確認されています。この高分子医薬は、病巣・組織・細胞内で高い薬効持続性と安全性を持ちます。

CrestecBioは今回の資金調達により、CTB211の臨床試験に向けた非臨床試験および治験薬の製造準備などを加速させる計画です。

CrestecBioの創薬研究には、JSTの創発的研究支援事業の研究課題「生体内レドックス反応を制御するナノメディシンの創出」(研究代表者:丸島 愛樹(筑波大学 医学医療系 准教授)、2021年度採択)の成果が活用されています。

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