科学技術振興機構報 第1767号

2025(令和7)年5月12日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)

出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)における
株式会社アークスへの出資実行について

JST(理事長 橋本 和仁)は、出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)において、株式会社アークス(本社:東京都渋谷区、代表取締役 棚瀬 将康、以下「アークス」という)への出資を実行しました。

アークスは、東京科学大学の研究成果を活用し、生殖補助医療領域におけるロボットおよびAI技術を活用した製品開発に取り組むスタートアップです。

生殖補助医療とは、胚培養士と呼ばれる専門職が顕微授精(ICSI)などの高度な技術を用いて、卵子と精子を受精させるという不妊治療のことであり、日本では約10人に1人が生殖補助医療によって誕生しています(2022年時点)。2022年4月から保険適用となり、生殖補助医療による出生数はますます増える一方で、高度な手技習得が必要な胚培養士の教育機会がなかなか確保されず、慢性的な人手不足のなかでいかに成功率を維持向上させていくかが課題となっています。

そのような課題解決のため、アークスでは顕微授精の作業支援や自動化のソリューションを提供します。顕微授精の重要なプロセスである精子選別において、独自のAI技術を用いることで、人の目では判断の難しい良好精子を定量的に評価して補足できるようになり、治療成績の向上が期待されます。また、選別した精子はICSI自動化システムにより素早く正確に顕微授精を行うことで、胚培養士の負担軽減や質の高い不妊治療の提供が可能となり、より多くの人々が安心して治療を受けられる社会の実現に寄与できると考えられます。

アークスのコア技術には、JSTの研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START) 大学・エコシステム推進型 スタートアップ・エコシステム形成支援における採択プロジェクト「Greater Tokyo Innovation Ecosystem(GTIE)」の研究開発課題「不妊治療で用いる生殖補助医療自動化システムの開発」(研究代表者:池内 真志(東京科学大学 生体材料工学研究所 教授)、2022年度採択)の成果が活用されています。

<プレスリリース資料>

<お問い合わせ先>

科学を支え、未来へつなぐ

例えば、世界的な気候変動、エネルギーや資源、感染症や食料の問題。私たちの行く手にはあまたの困難が立ちはだかり、乗り越えるための解が求められています。JSTは、これらの困難に「科学技術」で挑みます。新たな価値を生み出すための基礎研究やスタートアップの支援、研究戦略の立案、研究の基盤となる人材の育成や情報の発信、国際卓越研究大学を支援する大学ファンドの運用など。JSTは荒波を渡る船の羅針盤となって進むべき道を示し、多角的に科学技術を支えながら、安全で豊かな暮らしを未来へとつなぎます。

JSTは、科学技術・イノベーション政策推進の中核的な役割を担う国立研究開発法人です。

前に戻る