科学技術振興機構報 第1744号

令和7年1月23日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)

出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)における
OptQC株式会社への出資実行について

JST(理事長 橋本 和仁)は、出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)において、OptQC株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役CEO 高瀬 寛、以下「OptQC」という)への出資を実行しました。

OptQCは、東京大学および理化学研究所の研究開発成果を基に、世界初となる汎用型光量子コンピューターの商用化を目指すスタートアップです。量子コンピューターは、量子力学の原理を計算に利用することで、機械学習、新薬開発、金融リスク管理、材料設計など、社会的インパクトの大きなさまざまな問題を超高速で解けると期待され、世界中で激しい開発競争が行われています。

OptQCが開発する光量子コンピューターは、以下の特長を備えています。

  • ・常温常圧での動作:極低温や真空などの特殊環境を必要とせず、運用の柔軟性と優れた経済性の実現が可能。
  • ・優れた拡張性:独自技術により量子ビット数の効率的な拡大が可能。
  • ・高速情報処理能力:高いクロック周波数による超高速計算が可能。

以上から、従来の量子コンピューターと比べて高速かつ大規模な量子計算が可能になると期待されており、これまで困難であった計算課題の解決につながります。

OptQCは、今回の調達資金を活用し、令和8年4月に公開を目指す光量子コンピューター商用機の開発を一層加速します。インターネットを介したクラウドシステムを通じて幅広いユーザーが光量子コンピューターを利用可能な環境を整備し、アカデミアや産業界における革新的な成果の創出に貢献することを目指しています。

OptQCは、JSTのムーンショット型研究開発事業の研究課題「誤り耐性型大規模汎用光量子コンピュータの研究開発」(プロジェクトマネージャー:古澤 明 東京大学 大学院工学研究科 教授(理化学研究所 量子コンピュータ研究センター 副センター長 兼務)、研究期間:令和2年度~令和7年度)や、戦略的創造研究推進事業 CRESTの研究課題「極限コヒーレント光通信のための量子力学的操作と超伝導光子数識別器および光集積システム化法の研究」(研究代表者:古澤 明 東京大学 大学院工学研究科 教授、研究期間:平成27年度~令和2年度)などの成果を活用し、令和6年9月に設立されました。

<プレスリリース資料>

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