科学技術振興機構報 第1734号

令和6年11月29日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)

出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)における
HILO株式会社への出資実行について

JST(理事長 橋本 和仁)は、出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)において、HILO株式会社(本社:北海道札幌市、代表取締役 天野 麻穂、以下「HILO」という)への出資を実行しました。

HILOは、北海道大学の研究成果を活用し、蛍光バイオイメージング技術を用いた薬効評価法の開発に取り組むスタートアップです。

慢性骨髄性白血病(CML)は、染色体の異常により原因たんぱく質BCR::ABL1が細胞内に出現し、細胞が異常に増殖する血液のがんです。BCR::ABL1のチロシンキナーゼ活性を抑制することで細胞の増殖を抑える分子標的薬が複数承認されています。いずれの分子標的薬も治療に用いられていますが、その効果には個人差があり、実際に投薬しないと分からないことが課題です。

そこで同社は、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)の原理を用いて、BCR::ABL1のチロシンキナーゼ活性を検出する光診断薬を開発しました。患者から採取した骨髄細胞を光診断薬と分子標的薬で処理することで、分子標的薬の薬効の評価が可能となります。また、光診断薬の一部の配列を変えることで他の分子の活性を評価することができ、新しい医薬品の開発にも活用が見込まれます。同社はこれらの技術を用いて、(1)CML治療分子標的薬の薬効評価の受託解析サービス(2)新しい医薬品創出のための研究開発を目的とした製薬企業との連携を目指します。

HILOは、JSTの研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 【FSステージ】 シーズ顕在化タイプの研究課題「BCR-ABLチロシンキナーゼ薬剤感受性試験の実用化」(研究代表者:大場 雄介 北海道大学 医学研究院 教授、研究期間:平成24年度)、研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム<社会還元加速プログラム(SCORE)> プロジェクト推進型 ビジネスモデル検証支援の研究課題「蛍光バイオイメージング技術を用いた薬効評価法の事業化検証」(研究代表者:同上、研究期間:令和元年度)などの研究開発成果を基に、令和3年8月に設立されました。

<プレスリリース資料>

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