科学技術振興機構報 第1434号

令和2年6月4日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)

出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)における
リジェネフロ株式会社への出資決定について

JST(理事長 濵口 道成)は、出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)において、リジェネフロ株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役:石切山 俊博、以下「リジェネフロ」という)からの第三者割当増資の引き受けを実施しました。

リジェネフロは、ヒトiPS細胞由来ネフロン前駆細胞による細胞医療の実用化を目指す京都大学発のベンチャー企業です。JSTの戦略的創造研究推進事業 さきがけ 研究領域「iPS細胞と生命機能」における「多発性嚢胞腎患者由来のiPS細胞を用いた病態解析」(平成20~23年度)、再生医療実現拠点ネットワークプログラム「慢性腎臓病に対する再生医療開発に向けたヒトiPS細胞から機能的な腎細胞と腎組織の作製」(平成25年度採択、その後、日本医療研究開発機構(AMED)に事業移管)(いずれも研究者 長船 健二(現 京都大学iPS細胞研究所 教授))における研究開発成果を基に、令和元年9月に設立されました。

長船教授は、世界で初めて胎生期のマウスの腎臓から、糸球体や尿細管に分化する能力を持つネフロン前駆細胞を同定し、iPS細胞を高効率にネフロン前駆細胞に分化誘導する技術、拡大培養技術などを確立することに成功しました。さらに、作製したネフロン前駆細胞を腎臓病モデルマウスの腎被膜下へ移植することで腎障害の進行を抑制する効果があることを確認しています。

日本における慢性腎臓病(CKD)の患者数は、約1,300万人と推計されています。しかし現時点ではCKDの治療に対する有効な医薬品や治療技術はなく、CKDの進行により人工透析が必要な患者の数は年々増加して33万人を超え、その医療費は年間1兆5,000億円を超えています。

リジェネフロは、長船教授の技術シーズを基にiPS細胞由来ネフロン前駆細胞を用いた細胞医療の実用化開発を推進し、CKDを適応症とする医薬品の承認取得を目指します。患者の腎機能の低下を遅らせることで人工透析への移行の抑制につながるとともに、QOLの改善や医療費の削減が期待されます。

JSTは平成26年4月より「出資型新事業創出支援プログラム」(略称:SUCCESS SUpport Program of apital ontribution to arly-tage Companie)を実施しています。本事業は、JSTの研究開発成果の実用化を目指すベンチャー企業に対しJSTが出資並びに人的および技術的援助を行うことでその創出および成長を促進し、当該ベンチャー企業が行う事業活動を通じてJSTの研究開発成果の実用化・社会還元を促進することを目的としています。出資を通じてJSTがベンチャー企業の株主になることで、民間の資金を誘引する「呼び水効果」も志向しています。

URL:https://www.jst.go.jp/entre/

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