参考1

令和元年度 募集の概要

1.事業の目的

戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)は、社会の具体的な問題の解決を通して、社会的・公共的価値の創出を目指す事業です。社会問題の解決に取り組む関与者と研究者が協働するためのネットワークを構築し、競争的環境下で自然科学と人文・社会科学の知識を活用した研究開発を推進して、現実社会の具体的な問題解決に資する成果を得るとともに、得られた成果の社会への活用・展開を図ります。

2.研究開発領域・プログラムの概要

「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」の概要

2030アジェンダ(我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ)では、「直面する課題」として貧困、飢餓、不平等などのほか、気候変動、自然災害などが挙げられており、これらへの取り組みが期待されています。

同じく2030アジェンダでは、情報技術・医学・エネルギーなど幅広い分野における科学技術イノベーション(STI)は人間の進歩を加速化させ、デジタルデバイドを埋め、知識社会を発展させる大きな潜在力を有する旨が主張されています。科学技術イノベーションは重要な実現手段として位置づけられており、目標達成に向けた貢献が求められています。

2030アジェンダには、「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」という基本理念のもと、17の持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)と169のターゲットが掲げられています。このSDGsの達成に向けて、社会課題を特定し科学技術イノベーションを手段とした解決策を創出するには、「社会課題に国内の地域で取り組んでいる人」と「自らの技術シーズを社会課題への取り組みに活用したい人」が手を組み研究開発を行うことが重要と考えます。本プログラムでは両者の共創による研究開発を推進します。

本プログラムでは、研究開発の提案を募集し、研究開発プロジェクトとして選定します。プロジェクトでは、国内の地域において社会課題を特定し、その解決策を実証するとともに、プロジェクト終了後に解決策を実現するための事業計画を策定します。この解決策と事業計画を合わせてソリューションとし、ソリューションを創出することを目標とします。

本プログラムにより創出されたソリューションは、社会課題に取り組む人たちが引き継ぎ、特定地域への解決策の定着を図り、さらには海外を含め他地域へ展開する活動を通じて地域レベルでの実績を積み重ね、SDGsの達成につなげることを期待します。

プログラムの枠組み・方法

SDGsの達成に向けて、地域における社会課題に対するソリューションを創出するため、すでに得られている技術シーズを活用したSDGs達成のアイディアを基に、研究者(自然科学、人文学、社会科学)と社会課題に取り組む当事者(協働実施者)が一緒に研究開発を行うものとします。

研究開発の対象

(17の目標との関係)

SDGsの17の目標と169のターゲットは個々に独立したものではなく、相互に関連していることに留意してください。そのため、ある目標を達成するために他の目標を犠牲にしないことが求められます。

(持続可能な開発の三側面)

2030アジェンダに「われわれは、持続可能な開発を、経済、社会および環境というその3つの側面において、バランスがとれ統合された形で達成することにコミットしている」と記載されています。社会課題に対するソリューションの創出においては、経済的価値、社会的価値および環境価値のバランスのとれた価値創造が求められます。

(本プログラムにおける支援の対象)

現実の社会課題を解決するための取り組み自体が支援の対象です。社会課題の解決のために活用する技術シーズがすでにあることが必須条件となります。従って、技術シーズの研究開発そのものは対象にはなりません。

SDGsの達成には科学技術イノベーションが重要な手段になりますが、最先端の科学技術を用いた技術シーズが唯一のイノベーションの原動力ではなく、既存の技術シーズにさまざまな知見を組み合わせて課題の解決を図ることも有効なアプローチとなり得るものと考えます。

本プログラムにおける技術シーズとは、用途が想定された科学技術の研究開発成果であり社会の中で可能性試験ができる段階にあるものとします。現実の社会課題を解決するための科学技術の成果であっても、その効果をプロトタイプとして示すための研究室レベルの可能性試験や、研究室レベルでのソフトウエアの開発などはすでに終了しているものとします。

また、最終的に社会課題の問題の解決に寄与する活動であっても、ソフトウエアや機器類の商品化、企業化のみを追求する活動は、本プログラムの支援対象ではありません。

研究開発のフェーズ

本プログラムでは、国内の地域における具体的な社会課題を対象として、ソリューションの創出までの研究開発を行います。研究開発の進捗に応じて適切な支援を行うため、シナリオ創出、ソリューション創出の2つのフェーズを設定します。いずれのフェーズにおいても、目指すべき姿を描き、その姿から立ち戻って現時点から計画を立てるバックキャスティングの手法を採用します。

<シナリオ創出フェーズ>

具体的な社会課題に取り組むために、対話・協働を通じて地域における社会課題の特徴を抽出してボトルネックを分析・明確化します。社会課題を解決する新たな社会システムを想定して、技術シーズを活用した解決策を検討し、社会において可能性試験を実施します。さらに、可能性試験により得られたエビデンスを基にロードマップを作成し、2030年度までに他地域にも展開してSDGsを達成する構想(以下、「シナリオ」という)を創出するフェーズです。

<ソリューション創出フェーズ>

シナリオに基づき研究開発を行い、地域での実証試験を経て社会課題の解決策の有効性を示し、併せて、他地域に展開するための適用可能条件や環境設定も提示します。並行して、プロジェクト終了後の自立的継続のための計画(事業計画)の策定および計画実行の準備を行うフェーズです。この事業計画は、協働実施者を中心に実行することを想定しています。

本フェーズは実証段階を支援するものであり、普及段階を対象にしていませんが、協働実施者がソリューション創出フェーズ終了時点での成果の受け手となることを想定し、自立的な活動を継続できる体制や普及への足掛かりが出来上がっていなければなりません。自立的な活動に至るための道筋が具体的に構想されている提案を求めます。

提案者の要件

次の2名の連名で提案していただきます。

研究代表者と協働実施者の2名が中心となってプロジェクトを推進します。

図 SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム

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