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別紙1

戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)
EIG CONCERT-Japan「超空間制御による機能材料」
平成30年度新規課題一覧

【超空間制御による機能材料】

  課題名 研究代表者・所属・役職 課題概要
ナノ粒子からなる超分子構造体構築と多孔性ナノ材料への応用(SUPRAPOROUS) 相田 卓三
東京大学 教授
(日本)

本研究では、従来の合成多孔質材料とは全く異なる発想に基づき、金属ナノ粒子を架橋点、超分子ポリマーをリンカーとして有する新規な多孔性ハイブリッド材料を開発する。多様なサイズ・形状のナノ粒子や、化学構造が異なるさまざまな超分子ポリマーを用いることで、孔のサイズや化学的性質の異なる多彩な多孔性材料を構築する。超分子ポリマーに特有の動的な性質、金属ナノ粒子のプラズモン性や光学特性を活用し、従来の材料では達成できない特異な材料物性・機能の実現を目指す。本研究では、特にドラッグデリバリーシステムや生体イメージング、再生医療のための組織培養基盤としての応用を狙う。

ジャビエ・モンテネグロ
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学 教授
(スペイン)
ウォルフガング・パラク
ハンブルク大学 教授
(ドイツ)
エドヴィナス・オレンタス
フェレンティス社 科学顧問
(リトアニア)
相変化材料を使用した蓄熱機能を有するセメント系複合多孔体建設材料の開発(PoroPCM) 石田 哲也
東京大学 教授
(日本)

ポリマー相変化材料(PCM)は、建築材料に対する用途として可能性を秘めているが、体積変化に対する安定性、強度などの力学特性における弱点、またセメント系無機複合材料と組み合わせて用いる際の分散性が低いことなどが問題として挙げられる。

本研究では、これらの課題を解決するために、カーボンナノ材料とPCMを組み合わせて安定化させた複合材料を新たに創製する。気泡とPCMの最適混合によって蓄熱容量を高めると同時に、体積安定性と力学特性を改善し、外壁材などとして活用可能な性能・機能を付与することで、建築物のエネルギー効率を革新的に高める新材料開発を目的とする。

E.A.B.クンダーズ
ダルムシュタット工科大学 教授
(ドイツ)
J.ドラド
スペイン国立研究所 上級研究員
(スペイン)
R.プクル
チェルベンカコンサルティング プロジェクトマネージャー
(チェコ)
印刷による完全無機多孔質金属酸化物を基礎としたペロブスカイト太陽電池:高効率・低価格デバイス構造のための電荷選択酸化物の決定(PROPER) 伊藤 省吾
兵庫県立大学 教授
(日本)

ペロブスカイト太陽電池(PSC)は印刷プロセスにより容易に作製され、そして市販のシリコン太陽電池に匹敵する高い光エネルギー変換効率を持ち、非常に注目されている太陽電池である。そのさらなる高効率化のため、太陽電池内部の多孔質金属酸化物電極の高機能化は非常に重要である。PSC内部にカーボン/グラファイト電極を導入することで、耐久性の向上と、理論上の限界である1.2Vに近い開放回路電圧が期待され、それにより高速印刷プロセスで変換効率18%が可能となる。

本研究は、グラフェン酸化物の添加、日本最大の軟X線シンクロトロン(兵庫県立大学 ニュースバル)の使用、ペロブスカイト溶液アプローチなど、包含的な分析手段と革新的な作製手法を確立するために、さまざまな知識分野からの研究パートナーでチームが構成されている。研究者の活発な国際交流がこの共同プロジェクトの成功の基盤となる。

アンドレアス・ヒンシュ
フラウンフォッファーISE シニア・リサーチ・フェロー
(ドイツ)
リオネル・フランディン
LEPMI 教授
(フランス)
グリーンケミストリーに基づく触媒反応を実現する新規多次元大細孔ゼオライト触媒の創製(MicroGreen) 窪田 好浩
横浜国立大学 教授
(日本)

本研究は、日本発の新型の大細孔ゼオライトYNU-5を、高選択的な酸化反応のための固体触媒に転換することを目的とする。研究代表者は別の新型ゼオライトが持つMSE型骨格の多次元大細孔構造を生かして、フェノール酸化のためのチタノシリケート触媒を調製し、優れた活性・選択性を示すことを見いだしてきた。

本研究ではその知見を生かし、多次元大細孔ゼオライトでのTi活性点分布を制御して触媒特性を向上させる。また、そのTi活性点の分布を分光学的な手法により緻密に調べ、さらに計算科学に基づくゼオライト骨格内でのTi活性点の安定性を評価することで、高性能なTi-YNU-5の設計と創製を実現する。

バレンティン・バルチェフ
フランス国立科学研究センター 研究統括
(フランス)
ペトコ・ペトコフ
ソフィア大学 准教授
(ブルガリア)
複合/ミックスマトリックス多孔質膜プロセスによる新機能の発現(X-MEM) 熊切 泉
山口大学 准教授
(日本)

多孔質材料の空隙率や孔径の制御、孔中への無機・有機ナノ材料の分散担持により、電気や光活性を向上させる。また、これら機能の発現機構を、実験と分子シミュレーションから検討・解明し、材料設計指針を得て、機能性をさらに向上させる。

次に、新材料を薄膜として合成する手法を開発する。多孔質材料を膜として2次元化することで、紛体では得られない機能が獲得できる。機能性多孔質膜の性能を、光活性を利用した水の浄化や、電気活性を利用したエネルギー生産性で評価する。加えて、電気活性を利用しチップ上の神経回路モデルを開発し、企業と産業化について検討を行う。

ディバン・ナツァリー
カンタブリア大学 助教
(スペイン)
パチュラ・アレクサンドラ
ポーランド科学アカデミー 研究員
(ポーランド)
グラー・エンバー
アティリム大学 助教
(トルコ)

氏名に下線がある研究者がプロジェクトリーダー
日本人は姓、名の順、外国人は名、姓の順で記載
名と姓の間には「・」、複合名や複合姓には「=」を使用