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別紙1

戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)
EIG CONCERT-Japan「効果的なエネルギー貯蔵と配分」
平成29年度新規課題一覧

【効果的なエネルギー貯蔵と配分】

課題名 研究代表者・ 所属機関・役職 課題概要
高効率電力貯蔵を目指す低コストナトリウムイオン電池の開発 駒場 慎一
東京理科大学
教授(日本)

高効率な電力貯蔵には蓄電デバイスが不可欠であり、大型定置用蓄電池の普及には低コスト、高変換効率、長寿命、安全性に優れた蓄電池が求められる。本研究では、正極に希少金属フリーなFe-Mn系層状ナトリウム酸化物、負極に黒鉛、エーテル系電解液を用いた、低コストナトリウムイオン二次電池の開発を目的とする。正負極材料開発、電解液開発、全電池評価を専門とする、日本、ドイツ、スペインの3カ国の研究チームが協力して正負極材料と電解液を組み合わせた電池トータルでの材料開発を行い、120Wh/kgのエネルギー密度を1000サイクル以上、容量維持率90%以上を示すナトリウムイオン全電池の開発を目指す。

フィリップ・アーデルヘルム
フリードリヒ・シラー大学イェーナ 教授(ドイツ)
テオフィロ・ロホ
CIC Energiguneエネルギー協同研究センター
科学ディレクター 兼バスク大学 教授(スペイン)
交流・多端子直流電力システムの性能に関するモジュールアウェア・モデリングと評価 薄 良彦
大阪府立大学
准教授(日本)
本課題では、多端子直流送電(MTDC)システムのモデリング・制御・最適化に実績を有するノルウェー産業科学研究所およびドイツ・フラウンホーファー研究機構との国際共同研究チームにより、交流送電とMTDCが相互結合した電力システムのモデリングと性能評価に関する基盤技術の構築を行う。ノルウェー側の小信号安定性解析技術、ドイツ側の最適潮流計算ならびに安定化制御技術、そして日本側の大信号(過渡)安定性解析技術を統合的に活用するための汎用ソフトウェアを提供することを本課題の目標とする。この目標に向けて、交流送電およびMTDCの各要素モデルをモジュールとして組み合わせることでシステム全体のモデリングを行うことを提案し、実際の欧州電力システムに基づくシミュレーションにより提案モデリングの有効性検証を実施する。
ダルコ・サルバトーレ
シンテフエネルギー研究所 研究員
(ノルウェー)
ストック・セバスチャン
フラウンホーファー研究機構
研究員(ドイツ)
金属-空気二次電池用新規カーボンフリー電極の開発 忠永 清治
北海道大学
教授(日本)
リチウム-空気電池を代表とする金属-空気二次電池は次世代の高エネルギー密度の蓄電素子として期待されている。しかし、空気極触媒層に用いる炭素材料が充放電時における劣化の原因の1つとなっている。本研究では、サイクル特性に優れた金属-空気二次電池の開発に向けて、炭素を含まない空気極触媒層を開発することを目的とする。さまざまな遷移金属の酸化物、炭化物、窒化物などを合成し、その触媒活性を評価する。計算科学的なアプローチも取り入れ、酸素還元反応あるいは酸素発生反応の根本的な反応機構を明らかにする。日欧の研究チームが相互補完的に取り組むことにより、サイクル特性・エネルギー密度に優れた蓄電池の開発につながることが期待できる。
マリオ・アパリシオ
CSICセラミックス・ガラス研究所 主任研究員
(スペイン)
ツグル・セチンカヤ
サカリヤ大学
助教授(トルコ)
アレハンドロ・フランコ
ピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学
教授(フランス)
スマートグリッドサービスを提供するモジュール式メガワット級ワイヤレスEV充電インフラストラクチャ 藤本 博志
東京大学 准教授(日本)

電池技術の急速な発展により、電気自動車が注目され手ごろな価格で販売され始めている。残念なことに、大容量バッテリーに短時間で充電するためには非常に強力な急速充電器を必要とし、低電圧配電網に大きな問題を引き起こす心配がある。多くの電気自動車用高出力バッテリーが同時に充電されなければならない都市の駐車区域において、この問題はさらに顕著であり、その結果、複雑で高価で巨大な電気設備が必要となる。同様に、マンションなど大型集合住宅の駐車スペースに強力な充電設備を装備することは、スペースの制約のために実用的でなく、さらにはその設置が不可能である可能性がある。

本研究は、モジュラーコンバータ技術、ワイヤレス充電、先進のグリッド接続技術、EVと家庭や電力系統のスマートな電力融通技術(V2G,V2H)、車載機器の最新技術を組み合わせることにより、設置面積を最小限に抑え、最大限の柔軟性を備えた高電力の充電スタンド群を開発する。

ジュゼッペ・グイディ
シンテフエネルギー研究所 研究員
(ノルウェー)
アントネロ・モンティ
アーヘン工科大学
教授(ドイツ)
水素社会実現に向けたプロトン伝導性セラミックスを用いた先進・革新的金属サポートセルの開発 松本 広重
九州大学 教授(日本)

高い耐久性と燃料電池や水蒸気電解といった用途への柔軟性を有し、600℃の以下の中温で作動するエネルギー変換デバイスとして、プロトン伝導体をベースとした金属サポートセルを開発する。

中温でも高い伝導性をもち、従来の酸化物イオン伝導体に比べて高いエネルギー変換効率をもたらすプロトン伝導体に対して、これに適合する酸素-水蒸気側電極材料を開発するとともに、従来のセラミック製のセルに比べて丈夫な金属サポートセルのプロセッシングを確立する。燃料電池/水蒸気電解のリバーシブル作動について検討し、再生可能エネルギーの利用の増大に向けた蓄エネルギーデバイスとしての有効性を実証する。日本とヨーロッパの科学的知見と経験を結集しこれらの課題に取り組む。

レミー・コスタ
ドイツ航空宇宙センター
上級研究員 (ドイツ)
トゥルールス・ノルビー
オスロ大学 教授(ノルウェー)

氏名に下線がある研究者がプロジェクトリーダー
日本人は姓、名の順、外国人は名、姓の順で記載
名と姓の間には「・」、複合名や複合姓には「=」を使用