JST(理事長 濵口 道成)は、国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム:SICORP)注1)「日本-イスラエル共同研究」において、イスラエル科学技術宇宙省(MOST)注2)と共同で「レジリエントな社会のためのICT」分野に関する共同研究課題の募集注3)および審査を行い、平成27年度新規課題として以下の3件を決定しました(別紙1)。
(1)「サイバー社会ネットワークにおける噂の伝播の検出と制御」
(研究代表者:東京工業大学 大学院総合理工学研究科 准教授 高安 美佐子、バーイラン大学 物理学科 教授 シュロモ・ハブリン)本研究は、サイバー社会におけるネットワーク上での情報の拡散に関する数値シミュレーション基盤を構築することで、誤情報による社会の混乱を早期に回復するプロセスを科学的に探索し、レジリエントな社会の実現を目指すものです。
(2)「災害時交通の観測・予測・制御による都市マネジメントシステムの開発」
(研究代表者:東京大学 大学院工学系研究科 教授 羽藤 英二、イスラエル工科大学 交通学科 学科長 シュロモ・ベッカー)本研究は、災害時のマルチスケールな行動シミュレーションの開発と、それに基づく最適な交通のマネジメントのための基礎理論の開発を目指すものです。
(3)「大規模災害に対する都市レジリエンスの向上:災害管理と社会経済分析のためのダイナミック統合モデルの開発」
(研究代表者:東北大学 災害科学国際研究所 助教 エリック・マス、エルサレム・ヘブライ大学 計算地理学センター 教授 ダニエル・フェルセンスタイン)本研究は、大規模災害評価や対応計画と被害軽減策を効果的に展開するためのシミュレーション基盤を構築し、ユーザーがインターネットブラウザを使用して、被害予測地図や避難経路、被災後の社会経済の回復シナリオを生成できるようにすることを目指すものです。
今回の共同研究課題の募集には11件の応募があり、これら応募課題について日本およびイスラエルの専門家が評価を行いました(別紙2)。その結果をもとにJSTとMOSTが慎重に審査・協議を行い、研究アプローチや独創性、チームの相乗効果や研究成果が与える影響などさまざまな観点から、両国がともに支援すべきと合意した3件を支援課題として決定しました。
支援期間は約3年間を予定しています。