JST(理事長 中村 道治)は、国際科学技術共同研究推進事業(SICORP)注1)「日本-フランス共同研究」において、フランス国立研究機構(ANR)注2)と共同で「分子技術」に関する共同研究課題の募集および審査を行い、平成26年度新規課題として以下の4件を決定しました(別紙1)。
(1) 「CO2還元と水素発生のための分子フォトカソード」
(研究代表者:東京工業大学 大学院理工学研究科 教授 石谷 治、CEAグルノーブル 化学・メタルバイオロジー研究室 上級研究員 ヴァンサン・アルテロ)
本共同研究は、太陽光をエネルギー源とした二酸化炭素の還元、および水からの水素発生を可能にする分子を基盤とする光電極の開発を目指すものです。
(2) 「分子性物質のマグネシウム電池用電極材料への展開」
(研究代表者:東京大学 大学院工学系研究科 准教授 大久保 將史、 ソルボンヌ大学 ピエール・マリー・キュリー校 教授 レスクェゼック・ロドリグ)
本共同研究は、資源的な制約のないマグネシウムを用いた二次電池「マグネシウム電池」を実現するために、分子技術を適用した電極材料の開発を目指すものです。
(3) 「ハイブリッド3次元構造体の創製分子技術」
(研究代表者:東京大学 理学系研究科 教授 菅 裕明、ボルドー大学 CNRS研究ディレクター イヴァン・フック)
本研究交流は、日本側研究者の標的結合環状ペプチドを探索する分子技術とフランス側の高次構造化学分子デザイン技術を組み合わせ、全く新しいハイブリッド3次元構造体の創製を目指すものです。
(4) 「光および化学エネルギー利用のためのポルフィリンナノ構造体制御の分子技術」
(研究代表者:大阪大学 大学院工学研究科 教授 林 高史、ストラスブール大学 CNRS研究ディレクター ジョン・ヴァイス)
本研究交流は、生体内に広く存在するヘムやクロロフィルの骨格として知られているポルフィリン分子を集積化し、光エネルギー獲得のデバイス開発や水素発生などの触媒開発を目指すものです。
今回の選考では、応募のあった37件について、日本とフランス双方の科学技術のさらなる発展を目的として、日仏合同評価委員会が共同で慎重に評価・合議を行い、採択課題を決定しました。
今回採択した各研究チームは、フランスと日本の研究者グループで構成され、研究アプローチや独創性、チームの相乗効果や研究分野に与える影響などさまざまな評価基準を考慮し、選出されました(別紙2:研究主幹 総評)。研究期間は支援開始から3年間を予定しています。