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別紙1

平成26年度 新規研究開発課題 一覧および総評

研究代表者 所属機関・役職 研究開発課題名 研究開発課題概要
城田 松之 東北大学
大学院医学系研究科
助教
PDBjタンパク質をゲノムにマップしたpdbBAMの作成 本研究では、PDBjに含まれる立体構造が解析されたタンパク質のアミノ酸配列について対応するmRNA配列に変換した後、ヒトゲノムDNA配列にマッピングし、ゲノム上の位置と変異情報を示すpdbBAMファイルを構築する。これにより、個人ゲノム解析結果をゲノムブラウザで閲覧したときに、変異情報と既知の構造情報を一目で把握することを可能にする。本研究は個人ゲノム解析と構造生物学の橋渡しをするものであり、これらの研究成果を個別化医療や創薬に効率的に応用できるツールを目指す。
千葉 啓和 基礎生物学研究所
ゲノム情報研究室
研究員
RDFストア間データ連結フレームワークの開発およびオーソログ解析への適用 さまざまなバイオデータベースのSPARQLエンドポイントが整備されることによって、インターネット上の分散データベースが実現されつつある。これらを統合的に解析し知識発見するためには、分散したデータの連結を可能にする技術が必須である。本課題では、RDFストア間でのデータ連結を容易に行うことのできる汎用的なフレームワークを開発する。解析事例として、オーソログデータベースを中心とした遺伝子情報の統合を行い、知識発見を試みる。
西田 孝三 理化学研究所
生命システム研究センター
テクニカルスタッフ
生化学反応ネットワーク統合解析環境の拡張 マルチオミクス・パスウェイ・ドラッグターゲット情報を統合した生化学反応ネットワーク統合解析環境の拡張を行う。昨年度の研究開発で行ったワークフローを整備し、分子間相互作用ネットワーク解析プラットフォームCytoscapeが掲げるCyberinfrastructureへの対応を念頭に置いた解析環境の汎用化を推し進める。また昨年度成果では大腸菌に限定していた解析対象の生物種を改め、本年度はシロイヌナズナへも解析の適用が可能であることを示し汎用性の向上を実証する。
細道 一善 国立遺伝学研究所
人類遺伝研究部門
助教
HLA遺伝子完全配列決定パイプラインの構築 HLA(ヒト主要組織適合抗原)はヒトの免疫応答の入り口としての役割を果たす重要な分子であり、リウマチや糖尿病など100種近くの生活習慣病、自己免疫疾患、がん、造血幹細胞移植に伴うGVH病、薬剤副作用との関連など数多くの医学的興味を有する。本申請ではNGSによるHLA遺伝子配列決定法ならびにタイピング法の解析パイプラインを構築すると共にHLA databaseのデータとして公開することを目的とする。

(五十音順)

<総評> 研究総括:長洲 毅志(エーザイ株式会社 プロダクトクリエーション本部 ポートフォリオ戦略・推進部 顧問)

統合データ解析トライアルは、統合化推進プログラムの一環として行われているもので、その中で構築されたデータベースをリソースの1つとして、データベースの活用を促すとともに新たな知見を得るような試みにチャレンジしていただきたく実施しております。また、本取り組みを通して若い研究者や異分野からの研究者の「バイオインフォマティクス」分野への参画を期待しております。 今年度は11件の応募がありました。統合化推進プログラムで統合化されたデータベースをリソースに含む、という採択要件に合致しない課題もありました。研究アドバイザーとともに、実現可能性、有用性、汎用性の観点について議論を重ね、4件を採択いたしました。

採択された研究開発課題については、研究アドバイザーにご指導やご相談に乗っていただきながら、有機的に連携して進めていただきたいと考えております。

今年度は昨年よりも若干長い研究開発期間を確保しましたので、研究代表者のみなさまには是非有効に使って目標にチャレンジしていただきたいと考えております。

以上