日本にとって化石燃料依存を低減しCO2を削減することは重要な課題である。水素はクリーンであることに加え、化石燃料・再生可能エネルギーからの製造が可能で、エネルギー供給源の多様化にも寄与する。
ただし、水素の製造、輸送・貯蔵はコストがかかり、現状の水素製造コストはガソリンの数倍となっている。このため、水素を効率よく低価格で生産する技術の研究、効率よく輸送・貯蔵する液体水素やエネルギーキャリア技術の研究、規模の経済につながる水素の用途拡大に資する研究・実証が必要である。バリューチェーン全体を見据えた研究開発を推進しつつ、水素が広く国民・社会から受け入れられるための運搬・貯蔵・利用などに関する安全基準の検討や、他の燃料との競合や水素の経済評価など、それらを踏まえた導入シナリオの策定が重要となる。
2020年までにガソリン等価のFCV用水素供給コストを、2030年までにLNG発電と同等の水素発電コスト実現を目指して研究開発を行い、東京オリンピック・パラリンピックでのエネルギーキャリアを活用した水素実証なども通じて水素社会の実現に向けた取組を推進する。
国内の研究機関注1)に所属して、自らの研究開発構想に基づき、最適な実施体制により、研究開発期間中、研究責任者として当該研究開発テーマを推進できる研究者。
注1)「国内の研究機関」 : 国内に法人格を持つ大学、独立行政法人、国公立試験研究機関、特別認可法人、公益法人、企業などのうち、研究開発を実施している機関。
研究開発項目と研究開発テーマ | 予算規模 |
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(1)アンモニアキャリアの開発 | |
①水素・アンモニアの製造基盤技術 | 2~3.5億円/年 程度 |
②アンモニア利用基盤技術 | 2~3.5億円/年 程度 |
③太陽熱を利用した水素製造に関する基幹部材開発 | 各0.5~2.5億円/年 程度 |
④分散型エネルギー利用のための合成システム開発 | |
⑤アンモニア発電 | |
(2)有機ハイドライドの開発 | |
⑥有機ハイドライドの製造・利用基盤技術 | 2~3.5億円/年 程度 |
⑦プロセス基盤技術 | 1億円/年 程度 |
⑧脱水素システムの開発および実用化(水素ステーション) | 1~2.5億円/年 程度 |
(3)液体水素の開発 | |
⑨液化水素用ローディングシステム開発とルール整備 | 1~2.5億円/年 程度 |
(4)水素利用技術の開発 | |
⑩水素燃焼技術開発 | 2~4億円/年 程度 |
(5)エネルギーキャリアの案税制評価 | |
⑪エネルギーキャリアの安全性評価研究 | 0.5億円/年程度 |