参考


戦略目標及び研究領域

【チーム型研究(CREST)】

 

 

 

戦略目標

 

『分子レベルの新機能発現を通じた技術革新』

 

 我が国が、長引く景気の停滞や国内産業の空洞化を克服し、活力ある社会を維持・発展させていくためには、既存の概念にとらわれず、新たな分野・領域を開拓し、独創的・革新的な技術の創生を通じて、新技術・新産業を創出していかなければならない。また、新しい革新技術の波が分子レベルでの新機能発現により誕生していることを考慮し、重点的にこの分野を推進し、社会の活性化を図っていくことが重要である。

 このため、分子レベルでの機能発現の視点から、世界レベルの大きな成果が期待できる新機能デバイス等の開発、新たな物性や機能を有する新材料の開発、ゲノムの構造・機能の解明や遺伝子機能の特定・制御技術の開発を目指す研究等を進めることが不可欠である。

 したがって、戦略目標を、知的資産を拡大するとともに、新技術・新産業の創出を目指す「分子レベルの新機能発現を通じた技術革新」とする。

 

 

研究領域

「電子・光子等の機能制御」(平成10年度発足)

 この研究領域は、電子や光子等の静的、動的特性を制御することで、新しい機能を発現しうる技術の可能性を探索する研究を対象とするものです。

 具体的には、信号の発生、増幅、処理、変換等の機能を発現させるための物理的、化学的メカニズムや、その実現に向けた技術的可能性の探索を行う研究等が含まれます。特に、界面を含む物質内部、表面における電子や光子等に関わる量子力学的現象の発見、解明、利用およびその具体化のための材料、構造作成技術の研究等が含まれます。

 

研究領域

「分子複合系の構築と機能」(平成10年度発足)

 この研究領域は、有機分子や無機分子等から成る分子複合系の構築ならびにそれに基づく新しい物性や機能の発現を目指す研究を対象とするものです。

 具体的には、有機分子や無機分子等が分子内あるいは分子間でさまざまな相互作用を行い、新規の物性を発現することに着目し、これら分子の設計、分子複合系の構築、静的および動的な相互作用の解明、さらにはこれらの知見に基づく新しい機能材料の創出に関する研究が含まれます

 

研究領域

「ゲノムの構造と機能」(平成10年度発足)

 この研究領域は、現在急速に発展しつつある各種生物のゲノムの構造とその機能に関する研究を対象とするものです。

 具体的には、種々のゲノムの構造解析、ゲノム解析技術、ゲノム機能の分子生物学的研究、ゲノム研究に関連した遺伝子やタンパク質の研究、それらの研究成果に基づく細胞の機能発現に関する研究等が含まれます。

 

 

 

 

 

戦略目標

 

『環境にやさしい社会の実現』

 地球上の人口は現在約58億人であり、1970年を境に増加は減速しつつあるものの、依然として年率1.5%で増加しており、2025年には83億人、2050年には98億人に達すると予想されている。今後人類が、真に豊かで快適な生活を実現し、維持していくためには、地球規模での無制限な開発や化石燃料の過剰使用等による環境の破壊を来すことなく、必要な食料及びエネルギーを確保するとともに、種々の人間活動やその結果生じる廃棄物等の生態系への影響を極力低減していくことが重要である。

 このためには、地球規模の諸現象の解明とその予測を行うとともに、これらを基礎として人間の諸活動の環境への影響を正確に把握することや、環境保全関連技術の確立が不可欠であり、それらを踏まえて環境にやさしい社会を構築していくことが必要である。

 したがって、第三の戦略目標を、地球変動のメカニズムの解明とその予測、環境への影響の把握、環境保全関連技術の確立等により人間の諸活動の環境への負荷の低減を目指す「環境にやさしい社会の実現」とする。

 

研究領域

「内分泌かく乱物質」(平成10年度発足)

 この研究領域は、内分泌かく乱物質問題の本質的な理解と解決をめざした研究を対象とするものです。

 具体的には、ヒトや野生動物を対象とした内分泌系への作用メカニズムの解明、これを発端とする生殖、神経/行動、発達、免疫等への影響のメカニズムの解明、ヒトおよび生態系に対する個別さらには複数の内分泌かく乱物質に関する量と影響、量と反応の関係の評価、それらをもとにした対策技術に関する研究等を対象とします。

 

 

 

 

 

戦略目標

 

『資源循環・エネルギーミニマム型社会システムの構築』

 京都で開催されたCOP3の結果等を踏まえ、我が国としても、今後人類が、真に豊かで快適な生活を実現し、維持していくためには、人類の存亡に関わる地球温暖化等による環境の破壊を来すことなく、種々の人間活動の生態系への影響を極力低減し、持続可能な発展を行うことが重要である。

 このためには、資源を循環させるシステムやエネルギー消費を極力抑えた効率的利用システムの構築を目指すこととし、地球温暖化ガスの新しい抑制技術の開発、環境を配慮した製品設計技術の開発、生物機能を活用した環境関連技術等の開発が期待される。また、このような新しい環境関連技術の中から次世代の革新技術が創出され、環境ビジネスが形成されていき、それらを通じて新しいシステムの構築を図っていくことが必要である。

 したがって、戦略目標を、持続可能な社会発展を目指す「資源循環・エネルギーミニマム型社会システムの構築」とする。

 

研究領域

「資源循環・エネルギーミニマム型システム技術」(平成10年度発足)

 この研究領域は、大量資源消費型文明社会を是正し、持続的発展を可能とする社会を構築するため、地球温暖化等の環境問題を克服し、資源循環・エネルギーミニマム型システムの構築を目指す研究を対象とするものです。

 具体的には、長期的な観点から、産業から民生に至る地球温暖化ガス放出を抑制する新たな技術の探索、生物機能を利用した水素等エネルギー源創生、温暖化ガスの固定・分解等に関する研究、また、資源循環・エネルギーミニマム型システム構築のために必要となる製品設計技術や製造技術等に関する革新的な研究等が含まれます。

 また、環境問題は社会システムとも密接な関係があるため、総合システム技術に関する研究も含まれます。

 

 

 

 

 

戦略目標

 

『遺伝子情報に基づくたんぱく質解析を通した技術革新』

 ヒトゲノム計画が進む中、遺伝子の塩基配列の解析技術は飛躍的に高度化し、併せて、遺伝子情報のデータベース化が急速に展開されている。

 今後、遺伝子レベルでの生命現象を理解するとともに、遺伝子情報の医療技術等への橋渡しを行うためには、これらの遺伝子情報を活用して、個々の遺伝子が作り出すたんぱく質が生体内でどのような役割を担っているのかを理解し、生命現象との係わりを解明することが重要である。

 また、これらの研究は、将来的には、遺伝子情報に基づいたゲノム創薬や、高機能食物の実現、たんぱく質の高機能化、たんぱく質のデザイン等の革新技術への展開が期待される重要な分野である。

 このため、戦略目標として「遺伝子情報に基づくたんぱく質解析を通した技術革新」を設定し、ポストゲノム研究の大きな柱であるたんぱく質について、その構造・機能解析を進めることにより、たんぱく質の役割を明らかにする。

 なお、本戦略目標の下で行われることが想定される研究としては、例えば、たんぱく質の構造解析、たんぱく質の機能解析等が考えられる。

 

研究領域

「たんぱく質の構造・機能と発現メカニズム」(平成13年度発足)

 この研究領域は、生命活動の中心的役割を担うたんぱく質の構造及び機能を明らかにしつつ、応用の可能性を探索する研究を対象とするものです。

 具体的には、たんぱく質の構造解析の高度化並びにたんぱく質の動的な構造変化に立脚する触媒活性や代謝調節、情報伝達等の生体反応、発生、免疫、神経系、環境適応等の高次の生命現象のメカニズムの解明とその医薬、診断技術、物質生産への応用、変性・再生等の動的な構造と物性の変化の解析とその制御や改良技術の展開、これら研究に資する新たな測定技術や研究手法の開拓を目指す研究等が含まれます。

 

 

 

 

 

戦略目標

『先進医療の実現を目指した先端的基盤技術の探索・創出』

 現在、ヒトゲノム計画の進展により、遺伝子の情報等遺伝子レベルでの生命現象が明らかになりつつあり、これらの知見を活用した新たな医療技術への期待が増大しつつある。

 急速な高齢化社会を迎えて、今後の社会をより豊かで活力のあるものとするためには、現状では克服が困難な疾患に対する新たな医療技術等の技術革新が望まれている。

 このため、戦略目標として「先進医療の実現を目指した先端的基盤技術の探索・創出」を設定し、DNA・たんぱく質工学技術、遺伝子ワクチン作製利用技術、ヒト幹細胞確立技術等の新しい医療技術の創出に向けた先端的基盤技術の探索・創出を進める。

 なお、本戦略目標の下で行われることが想定される研究としては、例えば、DNA・たんぱく質・細胞工学技術の確立・高度化、遺伝子ワクチンの開発等が考えられる。

 

研究領域

「免疫難病・感染症等の先進医療技術」(平成13年度発足)

 この研究領域は、再生医療や抗体工学等を含む先進医療のうち、免疫が関わる各種疾患(例えば免疫由来各種難病や各種感染症)に対する先進医療技術を中心とし、その他関連する先進医療技術も含め、次世代の医療技術の基礎と応用に関する研究を対象とするものです。

 具体的には、免疫難病(自己免疫疾患やアレルギー等)の発症機構の遺伝子レベルでの解明とそれに基づいた新しい治療法、例えば抗体療法、遺伝子治療、DNAワクチン、幹細胞治療等の開発および結核、マラリア、エイズ等の細菌、原虫、ウイルス感染症に対する新しいワクチンや創薬の開発につながる基礎的研究等が対象となります。

 

 

 

 

 

戦略目標

『新しい原理による高速大容量情報処理技術の構築』

 現行のコンピュータをベースとした情報処理技術は、ハードウェア・ソフトウェア共に飛躍的な進歩を遂げ、20世紀における情報革命として社会の変革に多大な役割を果たしてきた。しかしながら、デバイスの微細化やアルゴリズム上の限界によりこれまでのペースでの性能・容量の向上は望めなくなってきている。

 一方、コミュニケーションの多様化に伴う通信・計算容量の増大や、立体映像データ処理や複雑系の解析を行うための高速演算の必要性等、高速大容量情報処理技術に対する社会的ニーズは依然として高く、これらのニーズに応じた技術の確立が喫緊の課題となっている。

 このため、戦略目標として「新しい原理による高速大容量情報処理技術の構築」を設定し、量子コンピュータ、分子コンピュータ、ニューロコンピュータ等を含む新しい原理に基づく計算機構の探索を行うとともに、ノイマン型コンピュータにおいても全く新しい技術を導入し、新デバイスや通信技術も含めた高速大容量情報処理環境を構築するための要素技術を探求・確立することを目指す。

 なお、本戦略目標の下で行われることが想定される研究としては、例えば、量子計算理論及び量子システムの探索・開発、生体工学と情報処理科学による新規原理・システム等の探索・開発等が考えられる。

 

研究領域

「情報社会を支える新しい高性能情報処理技術」(平成13年度発足)

 この研究領域は、高速大容量情報処理に不可欠な新しい情報処理システムの実現に向け、その技術についてのハードウエア、ソフトウエアの研究を対象とするものです。

 具体的には、量子コンピュータや分子コンピュータ等を含む新しい原理に基づく情報処理システム、従来型のコンピュータの性能を新しい時代に合わせて飛躍的に向上させる要素技術、従来システムの安全性や信頼性向上のための技術、大負荷に耐えられる大容量システム技術等に関する研究が含まれます。

 

 

 

 

戦略目標

『水の循環予測及び利用システムの構築』

 世界の人口のうち、約8%の人々が居住している地域では、現在も深刻な水不足が発生しており、最近取りまとめられた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第3次評価報告書に示されるように、今後もその悪化が懸念されている。特に、農耕地の急速な拡大や都市化による水不足の問題は、一つの国だけの問題にとどまるものではなく、国家間の問題を引き起こす要因となる可能性がある。

 また、安全な飲料水を確保するとともに、穀倉地域への安定した水の供給に貢献することは、我が国を含め、世界の食糧問題の解決にも資する重要な課題である。

 このため、戦略目標として「水の循環予測及び利用システムの構築」を設定し、地圏・水圏・気圏における水循環の解明・予測に向けた研究を行うとともに、土壌や生態系を含めた適切な水の利用・保全を行うためのシステムの構築を目指す。

 なお、本戦略目標の下で行われることが想定される研究としては、例えば、水循環と環境の相互作用の解明、水の機能を踏まえた水の利用・保全システムの構築等が考えられる。

 

研究領域

「水の循環系モデリングと利用システム」(平成13年度発足)

 この研究領域は、グローバルスケールあるいはリージョナルスケールにおいて、大気・陸域・海域における水の循環の諸過程を明らかにし、水循環モデルの構築を目指すとともに、社会システムにおける水の効率的な利用に関する研究を対象とするものです。

 具体的には、気候変動にともなう水資源分布の変化、人間活動が水循環に及ぼす影響に関する研究に加え、水資源の維持・利用、水循環の変化が社会システムに及ぼす影響の予測、生態系環境を維持・保全・回復する水の機能等に関する研究等が含まれます。

 

 

 

 

戦略目標

『情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製』

具体的な達成目標

 2010年に訪れると予想されている現方式のシリコン集積回路の微細加工限界(ムーアの法則の限界)を越えた、次世代の情報処理・通信を担う新たな情報処理・通信用デバイス・材料・システム開発をめざす。この際、シリコン基板及び非シリコン基板の双方の取組みを実施する。

 また、これらデバイス・材料・システムを活用するためのインターフェースとしても有用な各種センシング技術(最先端的計測法・先端センサー素子とセンサー管理システムの開発等)による健康・環境計測法の実現を目指す。

 これらの目標達成のため、革新的な物性を有する物質創成からデバイス・システム開発までの総合的な推進を目指す。

 このため、2010年代に実用化・産業化を図るべく、以下のような成果等を目指す。

・現在の半導体よりも演算速度を2桁向上するとともに、消費電力を2桁以上低減する情報通信用デバイスの探索。

・革新的なナノ素材とナノプロセスの開拓、新機能・新特性を持つ超集積素子の実現及び、医療応用・障害克服などに貢献するための集積システムの生体親和性の飛躍的向上。

・革新機能を付与した単一分子の合成及び高度集積化法の開拓等、機能分子を望むように集積して回路を形成する技術の確立及び分子デバイスシステムへ応用

・ナノメモリーの原理・素材・方式の解明を通じ、現在のハードディスクの記録密度の1000倍程度の記録密度を目指す。

・固体量子ビット素子、超伝導系量子磁束素子、相関電子素子、相関光子素子、スピン制御素子、ナノチューブ・ナノワイヤ素子等、新原理素子の探索及び技術的な壁の打破

・大容量・超高速の光通信技術に必要な光発生、光変調、光スイッチ、光増幅、光検出、光メモリ、表示などへの革新につながるナノ構造フォトニクスや材料の開発を通じた次世代光技術の創製

・バイオ分子の自己組織化を利用したナノスケールの新素子、新材料の創製を通じた高集積バイオチップの開発

・半導体、酸化物や磁性体中の電子の持つもう1つの自由度であるスピンを電子デバイスにおける新しい自由度として積極的に活用した、新しいナノ構造を利用したスピンエレクトロニクス材料の探索・創製

・超分子を用いたバイオナノ超分子センサー、導電性超分子スイッチング素子、ナノマシンなどの分子デバイス、ナノ材料の開発

・フラーレンの集積化、ナノデバイスへの応用に不可欠なCNT超微細加工技術、コンポジット材料開発

・フラーレン、ナノチューブに次ぐ新たなナノ集合体材料の創製と開発を通じたクラスター・ナノ粒子集合体をベースにした素子の実用化

・従来は全く異なる物質・材料として扱われてきた有機物質と無機物質とをナノスケールで融合させた構造を持つ全く新しい物質・材料群による素子の開発

 

目標設定の背景及び社会経済上の要請

 経済のグローバル化と国際競争の激化等に伴う産業競争力の低下、雇用創出力の停滞といった現下の経済社会の課題を科学技術、産業技術の革新により克服し、我が国の産業競争力を強化し、経済社会の発展の礎を着実に築くことが不可欠である。このような革新的な科学技術、産業技術の発展の鍵を握るものとして、ナノレベルで制御された物質創製、観測・評価等の技術であるナノテクノロジーが、近年急速に注目されている。

 具体的には、

@半導体を用いた高速・高集積・低消費電力デバイス技術に関し、国際競争力を確保することに加え、

A全く新しい原理を用いた次世代のデバイス・材料の礎を確立することが長期的展望にたった我が国の国際的な技術競争力の確保にとり必要不可欠である。

また、これらの実用化・産業化の目標を達成するためには、ナノレベルでの計測・評価、加工、数値解析・シミュレーションなどの基盤技術開発や、革新的な物性、機能を有する新物質創製への取組みが

必須である。

なお、総合科学技術会議分野別推進戦略(平成13年9月)においても、情報通信分野においては、国家的・社会的課題の克服のため、「次世代情報通信システム用ナノデバイス・材料」が5つの重点領域の1つとして位置づけられているところである。

 

目標設定の科学的な裏付け

 情報通信分野における我が国の技術競争力は、欧米に比べて全体的に低下傾向にある。これまで大きな役割を果たしてきた民間の研究開発については、その投資額の日米格差が急速に拡大しており、内容的にも製品開発に重点を移しつつあるため、我が国の競争力強化に向け、リスクの高い研究開発等について国の役割が一層重要となっている。

 特に、次世代情報通信システム用ナノデバイス材料においては、2010年に訪れると予想されている現方式のシリコン集積回路の微細加工限界(ムーアの法則の限界)を越えた、次世代の情報処理・通信を担う多様な新原理デバイス・材料・システムの構築に向け、現在、各国が世界標準の獲得競争のまっただ中にある。我が国として、次世代情報通信用デバイス開発において、世界を凌駕するための取り組みを緊急に準備することが必要であるが、この際、シリコン基板及び非シリコン基板の双方について産業化を見据えながら段階的な目標設定も行いつつ、戦略的に取り組むことが必要である。

ソフトウエア無線等の新規通信方式への転換につれて、通信システムの急速な高速・大容量化が今後とも予想されているが、半導体の集積化・高機能化はムーアの予測に従い、3年で4倍のペースで進んでおり、2005年には素子の最小寸法が100nmを切り、ナノデバイス時代に突入することとなる。このため、大容量、高演算速度、省エネルギー、高セキュリティーその他の画期的な機能を有する新原理デバイス・材料・システムの開発が急がれている。

 具体的には、

・現在の延長の技術においては、高速化限界、セキュリティー問題、消費電力等の課題の克服に加え、量子効果等により現れる素子の動作や製造技術上の物理的な限界、製造 コスト等の問題を回避するための革新的なナノ素材やプロセスの開発、量子ドット、量子細線、ナノチューブ等を取り込んだスイッチ素子の開発が求められる。

・現在使われているLSIメモリ、磁気ディスク、光ディスクの性能限界の壁をうち破るとともに、強誘電体メモリーなどの次世代メモリーの開発が求められている。

・更に、現在の方式の集積回路とは全く異なる新たな原理に基づくデバイスとして、単一分子素子、各種固体Qビット素子、超伝導系新量子磁束素子、スピンエレクトロニクス等の技術開発も次世代の世界標準獲得の観点から積極的に取り組むべき重要な課題である。

・加えて、このようなデバイスやシステムの開発に際しては、革新的な物性、機能を有する新物質創製が必須であり、超分子、カーボンナノチューブ、フラーレン、クラスター・ナノ粒子をはじめとした積極的開発が必要である。

 

重点研究期間

 ナノテクノロジー分野については、競争が激しく多くの研究領域を推進する必要があるため初年度のみの公募とし、次年度以降には新たに同じ研究領域での公募は行わない。1研究課題は概ね5年の研究を実施する。(なお、優れた研究成果を上げている研究課題については、厳正な評価を実施した上で、研究期間の延長を可能とする。)

(以下、平成15年度に追加)

 基本的には、初年度(平成14年度)のみの公募としていたが、特に緊急性の高い研究課題については、限定的に2年度目についても少数の課題に限り公募する。

(以下、平成16年度に追加)

 研究課題の公募は平成14、15年度のみとしていたが、ナノ構造材料・ナノデバイスにおける新しい機能・プロセスを実現するためのナノモデル化・シミュレーション技術に開発を目指す研究課題を平成16年度に公募することとし、同様に重要課題は以後公募できる。

 

 

研究領域

「超高速・超省電力高性能ナノデバイス・システムの創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、従来のデバイス・システムに対して、ナノスケールの超微細構造形成技術や革新的ナノプロセス、および超集積化技術を活用することにより、これまでの情報処理や通信システムの性能を飛躍的に高めるデバイス・システムの創製に係わる研究を対象とするものです。

 具体的には、情報伝達の超高速化や広帯域化と超省電力化に向けた新規デバイスの構造・材料に係わる研究、極微デバイスが直面する限界に挑戦する革新的なナノ素材やナノプロセスの研究、極微デバイスにおける物理機構の解明と制御に係わる研究、超微細構造の活用により従来の光デバイスの性能を凌駕する新しいナノ構造フォトニクスデバイスの創製に係わる研究、および、これらの関連研究等が含まれます。

 

研究領域

「新しい物理現象や動作原理に基づくナノデバイス・システムの創(平成14年度発足)

 この研究領域は、量子系の新しい物理現象や動作原理、および、それを用いて新しいデバイス・システム等を実現するための研究を対象とするものです。

 具体的には、ナノスケールにおいてはじめて現われる電子系やスピン系の物理的特性を応用して演算、記憶等のアクティブな情報処理機能をもつ新しいデバイスの実現、ナノスケールの局所的特性を対象として電気、機械、光等の物理的手法や動作原理を用いてセンシング、操作、制御等を行うデバイスや新たな情報処理システムの創製を目指す研究等が含まれます。また、既存技術の限界を打破する新しい技術領域の創出に発展する新しい物理現象の発現のためのナノデバイスに係わる構造研究、現在まだ対象とするものの性質の研究にとどまっている現象をデバイスに結びつける研究等も含まれます。

 

研究領域

「高度情報処理・通信の実現に向けたナノファクトリーとプロセス観測」(平成14年度発足)

 この研究領域は、高度情報処理・通信に資するナノデバイス等の実現に向けた新しいプロセシング技術、ナノ構造体の機能を観察・計測・評価する新しい計測評価技術等に係わる研究を対象とするものです。

 具体的には、新たなプロセシング技術の確立に向けた、ナノ構造を作り出す光・X線・電子ビーム・イオンビーム等の新たな活用に係わる研究、分子・原子を制御することにより結晶・組織等をナノレベルで形成する技術に係わる研究、および、構築されたナノ構造体の機能を計測・評価、検証する技術に係わる研究等が含まれます。なお、本研究領域は戦略目標「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

 

研究領域

「高度情報処理・通信の実現に向けたナノ構造体材料の制御と利用」(平成14年度発足)

 この研究領域は、バルクとは異なるナノ構造体において、微細な構造・組織等を制御することにより、高度情報処理・通信の実現に向けたこれまでにない特徴的な物性・高機能・新機能を有する材料等の創製や、その利用を図る研究を対象とするものです。

 具体的には、既にバルクとして存在している物質の「ナノ化」、すなわち薄膜・微粒子等の極微細構造はもちろん、ナノ粒子やクラスター原子・分子、分子性物質等、無機物質・有機物質さらにそのハイブリッド系を制御し、これまでにない機能・物性等を有する革新的新材料の創製を目指す研究、フラーレン・カーボンナノチューブ等の新機能性材料の創製やナノデバイス・システムへの利用を目指す研究等が対象となります。なお、本研究領域は戦略目標「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

 

 

 

 

戦略目標

『非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製』

具体的な達成目標

 DNA、タンパク質などの生体分子の動作原理等を活用した各種の機能性材料、生体適合性材料、バイオデバイス、システム等の開発及び、ナノマシンテクノロジー技術を活用した細胞手術、遺伝子治療システム、バイオアクチュエーター等の開発に向けた技術の確立を目指す。

 このため、2010年代に実用化・産業化を図るべく、以下のような成果等を目指す。

・人間の五感に匹敵する又は五感を超える感度を持つ高感度な外場応答材などによるインテリジェントなセンサ技術の開発及び、情報処理機能を持つ使い易いマンマシンインターフェースとして、高感度かつ知的なセンサの開発

・ドラッグデリバリーの標的精度を単一細胞レベルにまで高めるとともに、細胞・遺伝子治療の要素技術の開発を通じた、ナノテクノロジーを設計基盤とする安全・無痛・高効率医療効果を得るトータルなシステムの提案

・タンパク質分子やその複合体が関与する生体内反応を手本に、分子構造及び分子間相互作用の柔軟な変化を利用した、素子自体が状況を判断して最適な動作をするナノソフトマシンの開発

・遺伝情報に基づいて生体が行うようなプログラムに基づく自己組織化現象によるナノ構造制御の物質・材料構築技術の探索を通じた、生体を超える分子モーター、分子デバイス、五感センサ、脳型デバイス等の人工生体情報材料の開発

 

目標設定の背景及び社会経済上の要請

 経済のグローバル化と国際競争の激化等に伴う産業競争力の低下、雇用創出力の停滞といった現下の経済社会の課題を科学技術、産業技術の革新により克服し、我が国の産業競争力を強化し、経済社会の発展の礎を着実に築くことが不可欠である。このような革新的な科学技術、産業技術の発展の鍵を握るものとして、ナノレベルで制御された物質創製、観測・評価等の技術であるナノテクノロジーが、近年急速に注目されている。

 具体的には、

@新たな医療システムとして期待の高い極小システムの構築が急がれる一方、

Aライフサイエンスとナノテクノロジー、電子技術などとの融合等が、次代の科学技術革命を拓くものとしての期待が高い。

また、これらの実用化・産業化の目標を達成するためには、ナノレベルでの計測・評価、加工、数値解析・シミュレーションなどの基盤技術開発や、革新的な物性、機能を有する新物質創製への取組みが必須である。

なお、総合科学技術会議分野別推進戦略(平成13年9月)においても、ナノテクノロジー・材料分野においては、国家的・社会的課題の克服のため、「医療用極小システム・材料、生物のメカニズムを活用し制御するナノバイオロジー」が5つの重点領域の1つとして位置づけられているところである。

 

目標設定の科学的な裏付け

 創薬、再生医療等の医療への応用が期待されるライフサイエンス分野において、ゲノム技術の活用、疾病予防・治療技術開発、生物機能を高度に活用した物質生産、食料科学・技術開発等に加えて、新たな技術や手法の開発が求められており、そのためにナノテクノロジーの利用が不可欠である。

 このようなナノバイオテクノロジーは、米国においては、2000年からCornell大学を拠点として、Nanobiotechnology Centerプロジェクトを開始している他、英国でも、オックスフォード大学、グラスゴー大学を中心としたナノバイオテクノロジーへの総合的な取り組みが開始されている等、昨今、欧米における取り組みの強化が目立つ分野である。ナノバイオテクノロジーについては、バイオテクノロジーと物理、ナノテクノロジー、電子技術などの融合が次代の科学技術革命を拓くものとして期待が高く、我が国においてもこのような新たな分野において、世界のトップを目指すべく、緊急かつ戦略的な取り組みを開始すべき領域である。

 具体的には、

・高感度かつ知的なセンサーに関しては、情報を検知するセンサーについての開発は進んでいるところであるが、さらに多様な情報を超高感度で検知し、情報を処理伝達できる知的センター及び材料の開

発が重要度を増している。

・IT化医療に関しては、個々のDNA分子に対して自由に人工操作を加えるトップダウン型ナノテクノロジー的方法の開発が急務であるとともに、ドラッグデリバリーシステムとしては、高度なターゲット制度、放出医薬のモニター方法、ナノマニピュレータの開発が待たれている。

・ナノソフトマシンについては、既に個々のタンパク質の動態を観察、操作し、分析するための1分子テクノロジーはほぼ確立しているが、これを発展させ、細胞内での個々の生体分子複合体レベルでの機能解明と相互の分子の作用ネットワークのメカニズムの解明及びその医療応用等への取り組みが求められている。

・プログラム自己組織化については、最近では複数の分子種を構造制御しながら配列しようとする研究がなされているところであるが、人工分子を機能デバイスとして発展させていくためにより高密度に集積するとともに、集積した機能物質を利用したセンサー、メモリー等の開発等が求められる。

 

重点研究期間

 ナノテクノロジー分野については、競争が激しく多くの研究領域を推進する必要があるため初年度のみの公募とし、次年度以降には新たに同じ研究領域での公募は行わない。1研究課題は概ね5年の研究を実施する。(なお、優れた研究成果をあげている研究課題については、厳正な評価を実施した上で、研究期間の延長を可能とする。)

(以下、平成15年度に追加)

 基本的には、初年度(平成14年度)のみの公募としていたが、特に緊急性の高い研究課題については、限定的に2年度目についても少数の課題に限り公募する。

(以下、平成16年度に追加)

 研究課題の公募は平成14、15年度のみとしていたが、ナノ構造材料・ナノデバイスにおける新しい機能・プロセスを実現するためのナノモデル化・シミュレーション技術に開発を目指す研究課題を平成16年度に公募することとし、同様に重要課題は以後公募できる。

 

 

研究領域

「医療に向けた化学・生物系分子を利用したバイオ素子・システムの創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、医療への応用に向け、ナノスケールでの生体反応・情報制御技術、バイオ素子・システム等の創製、および、それに用いる化学・生物系ナノ構造体に係わる研究を対象とするものです。

 具体的には、超高感度に物質濃度や温度・圧力等を測定するバイオ素子・システムや、生体情報や生体反応を計測・制御するバイオ素子・システム等の創製に係わる研究、バイオ素子・システム等の創製に必要となる化学・生物系ナノ構造体や材料に係わる研究、バイオ素子・システムを診断・治療等医療に応用する研究やドラッグデリバリーシステム等が含まれます。

 

研究領域

「ソフトナノマシン等の高次機能構造体の構築と利用」(平成14年度発足)

 この研究領域は、ナノレベルでの分子構造や分子間相互作用の変化等を利用して働くソフトナノマシン等の高次機能構造体の構築と利用に係わる研究等を対象とするものです。

 具体的には、生体に学ぶソフトナノマシンの動作機構の解析・制御およびその原理を活用したソフトナノマシンの構築、利用に関する研究、タンパク質や合成分子等の高次機能構造体によるソフトナノマシンの高効率エネルギー変換、エネルギー供給、情報の変換、伝達に係わる研究等も含まれます。なお、本研究領域は戦略目標「情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

 

研究領域

「医療に向けた自己組織化等の分子配列制御による機能性材料・システムの創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、将来の高度医療を率引する革新的な機能特性をもつ材料・システムの創製を目指し、自己組織化などの分子の秩序配列を利用したナノレベルでの構造制御により、ナノ構造体を構築する技術を開発する研究を対象とするものです。

 具体的には、生体適合材料等の機能性材料・システムの創製を目指し、自己組織化等を利用した超微細構造の形成・制御技術・プロセス技術や評価技術に係わる研究、分子認識機構および情報伝達機構の解明と構造設計技術に係わる研究、自己組織性を有する無機・有機ナノ組織体の設計と高性能材料等の創製に係わる研究、生体機能発現の場である溶液あるいは界面での構造制御と機能発現機構の研究等が対象になります。なお、本研究領域は戦略目標「情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

 

 

 

 

戦略目標

『環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製』

具体的な達成目標

 原子・分子レベルで物質の組織・構造の制御等を行い、機能触媒及び循環可能な新材料等の環境保全材料並びに、高効率エネルギー変換システム等のエネルギー利用高度化材料の開発を目指す。この際、原子・分子レベルでの組織・構造の制御から求める材料開発までを総合的に推進する。

 このため、2010年代に実用化・産業化を図るべく、以下のような成果等を目指す。

・太陽電池、熱電変換素子、超伝導電力貯蔵・超長距離送電、燃料電池、水素貯蔵用材料のナノ組織制御による画期的な高性能化

・環境に余分な負荷を与えず、資源を無駄なく利用し、エネルギー効率を極限まで高めた、高速・高効率・高選択的物質変換プロセスと循環型エネルギーシステムを実現するためのナノ構造制御触媒の設計指針の確立及び調製技術の開発

・ナノスケールオーダーの口径の微小な空間を持つ物質の微細構造を制御した、新たな触媒、分離膜、物質担体、光デバイス、電子デバイス等の創製

・熱効率70%を可能とする超高効率ガスタービン材、片手でも持ち上がる自動車ボディー材、その他金属・セラミックス・高分子及びカーボンナノチューブ等の新素材を複合した新機能を持つコンポジット材料の開発

・高機能・多機能化のためのナノ組織の設計の実現及び、地球温暖化防止・省エネルギーなどの環境材料、高度情報通信社会実現のための磁性材料等の革新的な金属材料の創製

 

目標設定の背景及び社会経済上の要請

 経済のグローバル化と国際競争の激化等に伴う産業競争力の低下、雇用創出力の停滞といった現下の経済社会の課題を科学技術、産業技術の革新により克服し、我が国の産業競争力を強化し、経済社会の発展の礎を着実に築くことが不可欠である。このような革新的な科学技術、産業技術の発展の鍵を握るものとして、ナノレベルで制御された物質創製、観測・評価等の技術であるナノテクノロジーが、近年急速に注目されている。

 具体的には、多機能、多段階に機能する触媒、エネルギー貯蔵・変換効率の飛躍的に向上した材料開発等が特に求められる。

 また、これらの実用化・産業化の目標を達成するためには、ナノレベルでの計測・評価、加工、数値解析・シミュレーションなどの基盤技術開発や、革新的な物性、機能を有する新物質創製への取組みが必須である。

 なお、総合科学技術会議分野別推進戦略(平成13年9月)においても、環境・エネルギー分野においては、国家的・社会的課題の克服のため、「環境保全・エネルギー利用高度化材料」が5つの重点領域の1つとして位置づけられているところである。

 

目標設定の科学的な裏付け

 将来の我が国経済社会の持続的な発展のため、リデュース、リユース、リサイクルを実現し、かつ廃棄物の適正処分や自然循環機能の活用等を図ることにより、天然資源の消費が抑制され、環境負荷が可能な限り低減される循環型社会の構築を図ることが必要である。物質・材料技術は、このような資源循環型技術の中でも主要な役割を担う技術の1つである。

 また、エネルギー分野においても、エネルギーインフラを高度化していくために必要な研究開発として、燃料電池、太陽光発電のためのエネルギー変換材料、エネルギー機器・インフラ等各種材料の開発が求められているところである。

 産業界においてもその取り組みの強化が図られている環境保全・エネルギー利用高度化材料については、既存の材料分野を越えた多機能・多段階に機能する触媒等の環境保全材料、革新的にエネルギー変換効率を向上させた燃料電池材料等のエネルギー利用高度化材料をはじめとした各種のナノ構造制御材料開発により積極的な取り組みを行うことが必要不可欠。

 具体的には、

・エネルギー貯蔵・変換材料については、既に、太陽電池、2次電池、水素吸蔵材料等様々な材料や製品が作られているが、エネルギー変換効率が未だ不十分であることから、ナノ組織制御材料により効

率向上を目指すことが必要である。

・高効率生産、環境浄化、エネルギー変換用などの触媒は現在までにおいても、多大な進化を遂げてきているが、ナノ構造を完全に制御した触媒により、必要な機能を単一の触媒上に付与する技術開発、多段階の合成プロセスについて、次々に機能する触媒開発、光機能触媒開発等への取り組みが求められている。

・複合剤の研究は、金属系、セラミックス系、高分子系等既に様々な分野で進められているが、製造コスト、特性劣化の問題等により、製品としては、スポーツ用材料といった比較的小型の製品に限られている。発電用ガスタービン等、大型構造部材への応用のためにナノ複合化が急務である。

 

重点研究期間

 ナノテクノロジー分野については、競争が激しく多くの研究領域を推進する必要があるため初年度のみの公募とし、次年度以降には新たに同じ研究領域での公募は行わない。1研究課題は概ね5年の研究を実施する。(なお、優れた研究成果をあげている研究課題については、厳正な評価を実施した上で、研究期間の延長を可能とする。)

(以下、平成15年度に追加)

 基本的には、初年度(平成14年度)のみの公募としていたが、特に緊急性の高い研究課題については、限定的に2年度目についても少数の課題に限り公募する。

(以下、平成16年度に追加)

 研究課題の公募は平成14、15年度のみとしていたが、ナノ構造材料・ナノデバイスにおける新しい機能・プロセスを実現するためのナノモデル化・シミュレーション技術に開発を目指す研究課題を平成16年度に公募することとし、同様に重要課題は以後公募できる。

 

 

研究領域

「環境保全のためのナノ構造制御触媒と新材料の創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、ナノオーダーで構造・組織等を制御することにより、これまでになく高効率・高選択的にかつ環境負荷を低く化学物質等を合成あるいは処理することが可能な新触媒・新材料・システム、環境負荷の低い新材料等を創製し、環境改善・環境保全に資する研究を対象とします。

 具体的には、環境負荷の高い合成プロセスをナノ構造制御触媒等により低環境負荷型に代替する技術に係わる研究、高効率分離・吸着機能・高立体選択的表面・触媒等の高機能・

新機能を有するナノ構造材料等の創製に係わる研究、すなわちグリーンナノケミストリーに加え、排ガス・排水中に含まれる化学物質、環境中に存在する化学物質等を高効率・高選択的に分離・除去、分解、無害化するナノ構造制御触媒の開発に係わる研究、これらを組み込んだシステムの創製に係わる研究、ナノ空間機能を反応場として活用したナノリアクター等の創製を目指す研究、環境負荷の低いナノ制御構造材料に係わる研究等が含まれます。

 

研究領域

「エネルギーの高度利用に向けたナノ構造材料・システムの創製」(平成14年度発足)

この研究領域は、ナノテクノロジーを活用した高効率のエネルギー変換・貯蔵技術、環境調和型の省エネルギー・新エネルギー技術を創製し、環境改善・環境保全に資する研究、および、ナノオーダーで構造・組織等を制御することにより、省エネルギーを達成し、エネルギーの高度利用に資するこれまでにない高度な物性を有する機能材料・構造材料・システム等を創製する研究等を対象とするものです。

 具体的には、エネルギー効率の極めて高い、高効率・高選択的物質変換プロセスや循環型エネルギーシステムを実現するためのナノ機能材料・システム、熱電変換素子等の創製を目指す研究、新しい太陽電池・燃料電池あるいは熱線反射材料・セルフクリーニング材料等の環境調和型の新エネルギー・省エネルギーに係わるナノ機能材料・システム等の創製を目指す研究、エネルギーの高度利用に資するナノオーダーで材料組成・組織構造・表面界面等を制御した高機能ナノ構造材料の創製に係わる研究、および、これらの構築に必要となるプロセス技術や評価技術に係わる研究等が含まれます。なお、本研究領域は戦略目標「情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」および「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製」にも資するものとなります。

 

 

 

 


 

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