ポイント
- タマムシの翅(はね)のように輝く、反射率95%以上の構造色フィルムを植物由来材料のみで実現
- 構造色材料は材料・プロセス面の制約が強く、生分解性と光反射性能の両立が困難だった
- 持続可能な新奇光学材料として、環境にやさしい装飾、センサー、偽造防止、熱制御材料として期待
大阪大学 産業科学研究所の春日 貴章 助教らの研究グループは、植物由来原料のみを用いて特定波長の光を95%以上反射可能な構造色フィルムを開発することに成功しました。この反射率は、生分解性構造色材料としては報告されている中で世界最高となります。
構造色材料は、色素や染料を使わず、ナノレベル(10億分の1メートルレベル)の微細構造による光の反射で発色する点が特徴です。色あせにくく、鮮やかな発色を実現できることから、加飾(装飾)や偽造防止、センサーなどへの活用が期待されています。しかし、タマムシやモルフォ蝶など自然界に存在する構造色とは異なり、人工的な構造色材料には、化石燃料由来のプラスチックや無機材料が使われています。これらは、自然界で分解されにくいため持続可能性への懸念がありました。
今回、研究グループは、ナノセルロースと同じく植物由来の多糖類であるペクチンを交互に積層し、かつ、各層の密度を制御することで、植物素材のみを用いて95%以上の反射率を有する構造色フィルムを実現することに成功しました。これにより、環境にやさしい加飾、センサー、偽造防止、熱制御材料および持続可能なフォトニクス分野(Sustainable Photonics)の発展が期待されます。
本研究成果は、2026年11月4日(日本時間)に、国際科学誌「Advanced Materials」(オンライン)に掲載されました。
<本研究を支援したJSTの制度>
戦略的創造研究推進事業 さきがけ
戦略的創造研究推進事業 CREST
創発的研究支援事業
共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)
<論文タイトル>
- “Over 95% optical reflectance from structurally modulated all-biopolymer multilayers”
- DOI:10.1002/adma.75473
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(853KB)
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