ポイント
- 二酸化炭素濃度が高かった白亜紀の海で、なぜ炭酸カルシウムの殻や骨格を作る生き物が繁栄できたのか。その理由の1つと考えられる、海水の高いアルカリ度に着目しました。
- 海水のpHとアルカリ度を組み合わせた4条件で有孔虫を3カ月間培養し、重量測定とマイクロフォーカスX線CTにより、殻の「量」と「質」を調べました。
- 低pHでは殻の重量・体積・密度が低下しましたが、アルカリ度を同時に高めることで、その低下が大きく軽減されました。
- 現代の海水に近いpHでアルカリ度を高めると、殻の重量と体積が増加する一方、密度は基準条件と同程度の水準で、殻の「量」と「質」の応答が異なりました。
- 本研究の知見は、二酸化炭素濃度が高く、一見すると殻形成に不利だった白亜紀の海で、石灰化生物が繁栄できた仕組みや、将来の海洋酸性化への対策を考える手がかりになります。
福井県立大学 恐竜学部の木下 峻一 助教、東北大学、産業技術総合研究所の共同研究グループは、海の微小な生き物である有孔虫を用いた培養実験により、海水が酸を中和する能力の指標であるアルカリ度を高めると、低いpH(酸性化)による殻形成への悪影響が軽減されることを示しました。
マイクロフォーカスX線CTで殻の体積を測定し、重量と組み合わせて密度を調べた結果、殻がどれだけ作られるかという「量」と、殻の密度で評価する「質」が、海洋環境の変化に異なる応答を示すことも明らかになりました。
本研究成果は、2026年10月28日(日本時間)付で、科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
<本研究を支援したJSTの制度>
戦略的創造研究推進事業 CREST
<論文タイトル>
- “High alkalinity mitigates the negative impacts of high-CO₂ ocean on foraminiferal calcification quantity and quality”
- DOI:10.1038/s41598-026-74230-y
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(603KB)
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