ポイント
- これまで実現していなかったX線領域のアト秒レーザーの生成に成功しました。
- X線自由電子レーザーを利用することで、従来のアト秒パルス生成における短波長側の限界を突破しました。
- 今後、アト秒X線レーザーを用いることで化学反応の初期段階で起こる高速な電子の動きを捉えることが期待されます。
東京大学 大学院新領域創成科学研究科の井上 伊知郎 特任准教授(兼:理化学研究所 放射光科学研究センター ユニットリーダー/科学技術振興機構(JST) さきがけ研究員)、大阪大学 大学院工学研究科の山田 純平 准教授、理化学研究所 放射光科学研究センターの矢橋 牧名 センター長らによる国際共同研究グループは、アト秒X線レーザーの生成とその時間幅の精密測定に成功しました。
本研究グループは、時間幅が1フェムト秒(1フェムト秒=10-15秒)以下の電子パルスをアンジュレータと呼ばれる周期的な磁石列に通すことで、極めて短い時間幅を持つX線レーザーの生成に成功しました。さらに、このX線レーザーを物質に照射した際に生じる特殊な蛍光の強度を測定し、その結果を理論計算と比較することで、ほぼすべての生成されたX線レーザーの時間幅が100~400アト秒(1アト秒=10-18秒)程度であることを明らかにしました。
これは、アト秒X線レーザーの実現を示す初めての成果です。原子や分子内部で生じる電子の運動の多くはアト秒からフェムト秒の時間スケールで進行するため、それらを直接観測することは長年の研究課題です。今回生成したアト秒X線レーザーは、こうした超高速現象を捉える新たな観測手段として、物質科学や生物学をはじめとする幅広い研究分野での活用が期待されます。
本研究成果は、2026年10月20日(英国時間)付で、英国科学誌「Nature Photonics」に掲載されました。
<本研究を支援したJSTの制度>
戦略的創造研究推進事業 さきがけ
創発的研究支援事業
<論文タイトル>
- “Experimental demonstration of attosecond hard X-ray pulses”
- DOI:10.1038/s41566-026-02026-7
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(354KB)
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