ポイント
- 高分子には、一般的な「ひも状(線状)」のものだけでなく、ひもの両端がつながった「輪っか状(環状)」のものがある。しかし、環状高分子の大きさ(分子量)やそのばらつき、構造を狙いどおりに制御してつくることは困難だった。
- 今回、輪っか状の構造を保ちながら、材料となる小さな分子を順次取り込ませる「リビング環拡大重合法」を開発し、分子量やそのばらつき、輪っか状というつながり方を精密に制御した環状共役高分子の合成に成功した。
- 高分子鎖のつながり方(トポロジー)の違いを生かすことで、従来のプラスチック材料の限界を打破する、次世代光学・電子材料の開発につながることが期待される。
広島大学 大学院先進理工系科学研究科の茅原 栄一 特定教授、新井 緒理 大学院生、東京科学大学 リサーチインフラ・マネジメント機構 コアファシリティセンターの梶谷 孝 上席技術専門員の研究グループは、輪っか状の高分子(環状高分子)を精密につくる新しい方法「リビング環拡大重合法」の開発に成功しました。
高分子は、小さな分子が多数つながってできています。一般的な高分子は両端のある「ひも状」ですが、両端がつながった「輪っか状」の環状高分子も知られています。環状高分子は、ひも状の高分子とは異なる性質や機能を示すことがありますが、分子量やそのばらつき、構造を狙いどおりに制御してつくることは困難でした。
今回、研究グループは、輪っか状の構造を保ちながら、材料となる小さな分子を順次取り込ませる「リビング環拡大重合法」を開発し、分子量やそのばらつき、輪っか状というつながり方を精密に制御した環状共役高分子の合成に成功しました。さらに、らせん状の構造を持つものや、性質の異なる部分をブロック状に組み合わせた環状高分子の合成にも成功しました。
本成果により、分子のつながり方(トポロジー)の違いが高分子の性質にどのような影響を与えるかを詳しく調べることが可能になります。今後、こうした知見を生かし、新たな光学・電子機能を持つ高分子材料の設計・開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2026年10月21日(ロンドン時間)付で、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
<本研究を支援したJSTの制度>
創発的研究支援事業
<論文タイトル>
- “Controlled living ring expansion polymerization for the precision synthesis of cyclic poly(aryl isocyanides)”
- DOI:10.1038/s41467-026-78466-0
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(605KB)
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