自然科学研究機構 分子科学研究所・総合研究大学院大学の瀬川 泰知 准教授と張本 尚 助教(研究当時)、加納 春華 大学院生の研究グループは、湾曲した2枚のπ共役分子を3カ所で向かい合わせに連結することで、内部に空洞を持つ「かご型分子」を設計・合成しました。
このかご型分子は、側面に開いた3つの開口部からさまざまなπ共役分子を取り込み、2枚のπ共役パネルの間に挟み込みます。開口部を通り抜けられる分子は可逆的に出入りし、その分子の形が空洞に合うほど強く結合します。一方、開口部を通り抜けられない大きな分子は、かご型分子が組み上がる過程で内部に取り込まれ、加熱・減圧しても外に出ない「カルセプレックス」を形成しました。これまでは永続的に閉じ込めることが難しかった平面状のπ共役分子を、その電子的な性質に左右されず、分子同士の形の相性(形状相補性)によって永続的に閉じ込めた点に、本研究の独自性があります。
研究グループは、2枚のπ共役パネルが内部の分子をまるで『鎧』のように挟み込むことから、この分子を「π-Armor(π共役分子の鎧)」と名付けました。今後、さまざまな機能を持つ分子カプセルの開発や、不安定な分子の保護など、分子材料の設計への応用が期待されます。
本研究成果は、2026年10月13日(現地時間)付で、米国化学会の国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」にオンライン掲載されました。
<本研究を支援したJSTの制度>
創発的研究支援事業
<論文タイトル>
- “π-Armor: Shape-Complementary Encapsulation of Aromatics”
- DOI:10.1021/jacs.6c17351
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(1.29MB)
※本件に関する問い合わせ先はプレスリリース資料(PDF)をご参照ください。