東京大学,科学技術振興機構(JST)

2026(令和8)年10月6日

東京大学
科学技術振興機構(JST)

育児や介護のストレス解消には、適切な「距離」が鍵

~チャットボットを用いた実証研究で、2つの振り返りモードを解明~

ポイント

東京大学 大学院情報理工学系研究科の矢谷 浩司 教授、同大学 大学院学際情報学府 先端表現情報学コースの乘濵 駿平 氏(博士課程)、京都大学 大学院情報学研究科の山下 直美 教授ら、お茶の水女子大学 基幹研究院 人間科学系の平野 真理 准教授ら、オウル大学のホシオ・シモ 教授による研究グループは、育児や介護を担う家族内ケア提供者のストレス解消において、ケア対象者との時間的・空間的・社会的な「距離」が重要な役割を果たすことを明らかにしました。

家族内ケア提供者は、ケア対象者を優先するあまり自身のケアを後回しにする傾向があります。本研究では、チャットボットを用いた47名への実証実験により、ケア対象者との距離に応じて振り返り(内省記述)の内容や効果が変化することを確認しました。具体的には、ケア対象者や出来事との心理的な距離が近い時には感情の解放が促され、距離を置いた時には客観的な分析が可能になるという、2つの振り返りのモードを確認しました。そして、家族介護者の日常生活の中で記録されたデータに基づき、これらのモードの現れ方が時間的・空間的・社会的な距離と関連していることを、世界で初めて実証しました。

先行研究における家族内ケア提供者本人単独の文脈に基づく支援とは異なり、ケア対象者との関係性(距離)を考慮した点で新規性があり、この研究成果は今後、「ケアをする人がケアされる」メンタルヘルス支援技術の発展に役立つことが期待されます。

本研究成果は、2026年9月30日(米国東部夏時間)付で、科学誌「Proceedings of the ACM on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologies」に掲載されました。

<本研究を支援したJSTの制度>

先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)

<論文タイトル>

“Two Modes of Reflection: How Temporal, Spatial, and Social Distances Affect Reflective Writing in Family Caregiving”
DOI:10.1145/3831973

<プレスリリース資料>

※本件に関する問い合わせ先はプレスリリース資料(PDF)をご参照ください。

(英文)“Sometimes it helps to take a step back”

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