ポイント
- クルマエビ類の養殖では細菌による病気が問題となっており、病原細菌の増殖を抑える細菌(拮抗(きっこう)細菌)を活用した防除法が注目されている。
- 直径約30μm(マイクロメートル)の微小な液滴を培養容器として利用し、クルマエビ飼育水中から病原細菌の増殖を抑える細菌候補18株の単離に成功した。
- 本技術は、これまでより少ないスペースと短い時間で有用な細菌を探し出せるだけでなく、環境中にごくわずかしか存在しない細菌の探索にも有効である。これにより、薬剤に頼らない新たな魚病対策や持続可能な水産養殖への貢献が期待される。
東京海洋大学 大学院海洋科学技術研究科 博士後期課程の湯浅 壱 氏、同大学 学術研究院(水圏生物生産工学研究所)の小祝 敬一郎 准教授、およびオンチップ・バイオテクノロジーズの片山 悠里 氏らの研究グループは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 ACT-Xの支援を受け、微小液滴技術を活用し、クルマエビ類養殖で問題となる魚病細菌であるVibrio harveyi(以下、V. harveyi)の増殖を抑える細菌候補を、環境中から効率的に探索する技術を開発しました。
特定の細菌の増殖を抑える拮抗細菌は、水産養殖における細菌性感染症の新たな防除法として注目されています。本研究グループは、微小な液滴を細菌の培養区画として活用する技術を適用し、クルマエビの飼育水中から18株の拮抗細菌候補を見つけ出しました。解析の結果、本技術を用いることで、従来の培養法では見逃されがちな、環境中にごくわずかしか存在しない希少な細菌も探索候補として見つけ出せることが示されました。また、単離した細菌候補をV. harveyiと同時にクルマエビに接種したところ、一部の株においてクルマエビの生存率を向上させる傾向が確認されました。
本研究成果は、微小液滴技術を用いた高効率な細菌探索の有効性と、本手法を水産分野に活用するための技術的課題を明らかにするものです。
今回の成果は、ACT-X課題で推進した研究と企業との技術連携により実現したものであり、本手法の活用により、薬剤に依存しない新たな魚病防除法の開発や、持続可能な水産養殖への貢献が大きく期待されます。
本研究成果は、2026年9月2日(英国時間)付で、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版で公開されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 ACT-X(JPMJAX21B5)、野田産業科学研究所 研究助成金、日本学術振興会(JSPS) 科研費(JP24H00519、JP25H00939、JP24KK0126)、日本科学協会 笹川科学研究助成(2025-4015)の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(1.17MB)
<論文タイトル>
- “Microdroplet-based high-throughput screening for antagonistic bacteria targeting penaeid shrimp pathogenic Vibrio harveyi”
- DOI:10.1038/s41598-026-68242-x
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