ポイント
- AIによる立体構造予測を活用して構造解析に適した条件を選別するプログラム「NOAH」と、人工設計たんぱく質「ARK1」を統合した、薬の標的として重要なGたんぱく質共役型受容体(GPCR)に広く適用できる構造解析パイプラインを開発しました。
- GPCRは小さく、クライオ電子顕微鏡画像中で向きや位置を判別しにくいため、従来は高分解能での解析が困難でした。本パイプラインにより迅速かつ高分解能で解析できるようになり、複数のGPCRで、薬剤が結合した状態の高分解能構造を決定し、水分子やイオンを含む結合ポケットの詳細を可視化しました。
- この研究成果は、創薬ターゲットとして重要なGPCRの構造をより迅速かつ高精度に明らかにするものであり、医薬品開発の効率化への貢献が期待されます。
東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻の小島 朝翔 大学院生、東京大学 先端科学技術研究センター所属の加藤 英明 教授、川上 耕季 特任准教授、小林 和弘 特任助教、奈良先端科学技術大学院大学の小林 直也 助教らによる研究グループは、Gたんぱく質共役型受容体(GPCR)の高分解能構造を効率的に決定する、汎用(はんよう)的な構造解析パイプラインを開発しました。
本研究では、たんぱく質の立体構造予測技術を活用して有望な実験条件を選定するNOAHと、人工たんぱく質ARK1を組み合わせた、新たな構造解析技術を開発しました。これにより、従来は高分解能での構造解析が困難であった複数のGPCRについて、薬剤が結合した状態の構造を、水分子やイオンを含めて高分解能で決定することに成功しました。
得られた構造からは、薬剤が受容体のどこに結合し、どのように受容体の働きを制御するかを理解するための重要な知見が得られました。本成果は、GPCRを標的とする創薬研究において、薬剤候補の比較や改良を効率化し、構造ベース創薬の加速に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2026年8月28日(現地時間)付で、科学誌「Nature Structural & Molecular Biology」に掲載されました。
本研究は、JSPS KAKENHI(課題番号:JP24KJ0981、JP22H05426、JP24H01139、JP23KJ0363、JP24K18286、JP26K02174、JP24K18060、JP25H02243、JP24H02262、JP25K09525、JP21H04969、JP22H00400、JP25K22445、JP25H01338)、JST 戦略的創造研究推進事業 さきがけ(課題番号:JPMJPR24OF)、JST 創発的研究支援事業(課題番号:JPMJFR204S)、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST(課題番号:JPMJCR21P3、JPMJCR23B1)、AMED(課題番号:JP24bm1123057、JP26ak0101309)、AMED BINDS(課題番号:JP22ama121002、JP23ama121002、JP24ama121002)の支援によって実施されました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(740KB)
<論文タイトル>
- “Universal Pipeline for High-Resolution GPCR Structure Determination”
- DOI:10.1038/s41594-026-01869-6
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