京都大学,科学技術振興機構(JST)

2026(令和8)年8月19日

京都大学
科学技術振興機構(JST)

遠くまで届く磁気の力が相転移を支配

~絶縁性フェリ磁性体で「平均場臨界性」を初めて実証~

京都大学 複合原子力科学研究所の南部 雄亮 特定教授らの国際共同研究グループは、メリライト型酸化物Eu2MnSi2O7において、絶縁性フェリ磁性体では初めて、長距離の磁気双極子-双極子相互作用が磁気相転移付近の温度変化を決定し、「平均場理論」に近い臨界現象を生み出すことを明らかにしました。

約10.6K(約マイナス262.6℃)の転移温度付近で磁化測定から求めた臨界指数はβ=0.423(6)、γ=0.894(5)、δ=3.129(2)で、平均場理論の値(β=1/2、γ=1、δ=3)に近く、中性子粉末回折実験によって得られたβ=0.41(4)とも一致しました。さらに、Eu2+イオンとMn2+イオンの磁気モーメントが互いに反対向きに並びながら完全には打ち消し合わない、わずかに傾いたフェリ磁性的磁気構造を形成していることを明らかにしました。

本研究は、短距離の交換相互作用がフェリ磁性秩序そのものを安定化する一方、弱くてもより遠くまで届く双極子相互作用が臨界点近傍の普遍的な振る舞いを決めるという役割分担を示しています。これまで主に強磁性体で知られていた双極子相互作用駆動の平均場臨界性をフェリ磁性体へ拡張し、今後、反強磁性体を含む磁気相転移の普遍性を検証するための新たな基盤となることが期待されます。

本研究成果は、2026年8月12日(現地時間)付で、米国物理学会の国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載されました。

本研究は、以下の支援を受けて実施されました。

  • JSPS 科研費(JP21H03732、JP22H05145、JP24K00572、JP25K01489、JP22J22265、JP22KJ0312、JP26H02027)
  • JST 創発的研究支援事業(JPMJFR202V)

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Dipolar-Driven Mean-Field Criticality in the Ferrimagnet Eu2MnSi2O7
DOI:10.1103/5ftk-7qyg

<お問い合わせ>

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