京都大学,科学技術振興機構(JST)

2026(令和8)年7月9日

京都大学
科学技術振興機構(JST)

白血病の「個性」を決めるエピゲノムを解読

~大規模クロマチン解析による新たな分類と層別化治療~

急性骨髄性白血病(AML)は難治性の血液がんの1つです。AMLでは遺伝子変異などのゲノム異常が認められ、病態解明とそれらの異常を標的とする治療薬剤の臨床応用が進んでいます。一方で、どの遺伝子が使われるかを制御する仕組みである「エピゲノム」もAMLの病態に関わっているものと考えられていますが、その全容は明らかではありませんでした。

今回、京都大学 大学院医学研究科 腫瘍生物学講座 小川 誠司 教授(兼:京都大学 高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点(WPI-ASHBi) 主任研究者)、越智 陽太郎 助教、スウェーデン・カロリンスカ研究所 ソーレン・レーマン 教授らを中心とする研究グループは、1,500例以上のAML患者検体において大規模なエピゲノム解析を行いました。その結果、AMLはエピゲノムの特性によって、異なる「個性」を持つ16のグループに分類されることを示しました。さらに、各グループはそれぞれ異なる分子機構、臨床予後、薬剤感受性を有しており、従来の遺伝子変異だけでは捉えきれないAMLの多様性が明らかになりました。

この研究成果は、白血病が単なる「ゲノムの病気」ではなく、エピゲノムも病態に重要な役割を果たすことを大規模なゲノム・エピゲノム統合研究によって明らかにしたもので、今後はエピゲノム情報を利用した次世代型の精密医療への応用も期待されます。

本研究成果は、米国学術誌「Nature」誌に2026年7月8日(グリニッジ標準時)付で掲載されました。

本研究は、下記の研究費・研究支援を受けて実施されました。

・科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(JPMJFR220L)

・日本医療研究開発機構(AMED) 革新的がん医療実用化研究事業「造血器腫瘍における多階層オミクス解析に基づくRNA修飾を標的としたがん治療プラットフォームの開発」、「急性骨髄性白血病のエピゲノムサブタイプと特異的転写異常を標的とする治療開発」、「難治性がん(白血病等)の全ゲノム配列データおよび臨床情報等の収集と解析に関する研究」、「難治性がん(白血病等)の全ゲノム配列データおよび臨床情報等の収集と解析に基づく創薬等のイノベーションの創出をめざした研究」、「骨髄異形成症候群(MDS)のオミックス解析による治療反応性および病型進展の新たなバイオマーカーの同定とその実用化に関する研究」、ムーンショット型研究開発事業「慢性炎症の制御によるがん発症ゼロ社会の実現」、ゲノム研究を創薬等出口に繋げる研究開発プログラム「大規模ゲノムデータと検体バンクを用いた骨髄系腫瘍とクローン性造血の病態解明と新規診断・治療技術の創出」、ゲノム創薬基盤利活用推進研究事業「大規模オミクスデータ群と臨床検体によるエンハンサーリモデリングの同定と標的治療開発」、次世代がん医療創生研究事業「大規模シーケンス解析に基づく、造血器腫瘍のゲノム、エピゲノムにおける、空間的・時間的多様性の研究」

・日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業:特別推進研究(JP24H00009)、基盤研究(S)(JP19H05656)、若手研究(JP22K16320、JP24K19223)、研究活動スタート支援(JP20K22809)

・文部科学省 スーパーコンピュータ「富岳」成果創出加速プログラム「大規模データ解析と人工知能技術によるがんの起源と多様性の解明」(hp200138、hp210167、hp220163、JPMXP1020200102)

・武田科学振興財団、化学及血清療法研究所、第一三共生命科学研究振興財団、高松宮妃癌研究基金、かなえ医薬振興財団、金原一郎記念医学医療振興財団、持田記念医学薬学振興財団、日本白血病研究基金、小林がん学術振興会、藤原記念財団、UBE学術振興財団

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Chromatin landscape and epigenetic heterogeneity of acute myeloid leukemia”
DOI:10.1038/s41586-026-10703-4

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