ポイント
- 触媒と反応を同時に探し、未知の触媒プロセスを発見する新しい研究方法を実証
- メタン・酸素・二酸化炭素からなる広大な反応空間を探索し、生成物を限定しない質量分析により100万点規模の反応データを取得
- 従来の探索では到達困難だった高いメタン転換収率を実現し、想定外の生成物へつながる未知反応の芽も発見
北陸先端科学技術大学院大学 物質化学フロンティア研究領域の谷池 俊明 教授、Patchanee CHAMMINGKWAN 特任准教授らは、物質・材料研究機構 マテリアル基盤研究センター 田村 亮 グループリーダーらと共同で、触媒と反応を同時に探索する新しい研究方法「反応探索」を、メタン転換を対象として初めて実証しました。
触媒は、肥料、燃料、プラスチック、医薬品などの製造を支える基盤材料であり、カーボンニュートラル社会の実現には触媒技術の革新が不可欠です。しかし、触媒反応では、触媒の材料設計と反応条件が複雑に関係するため、現在でも実験的な試行錯誤に大きく依存しています。従来は、既知の反応に対して触媒を改良する、あるいは既知の触媒に対して反応条件を最適化することが中心でしたが、革新的な触媒プロセスの多くは、触媒と反応の思いがけない組み合わせから生まれてきました。
本研究では、メタン・酸素・二酸化炭素からなる広い反応空間を対象に、200種類の触媒と50種類の反応条件をハイスループット実験で評価しました。さらに、生成物を限定しない質量分析によって100万点規模の反応データを取得しました。その結果、触媒ごとに高い性能を発揮する原料組成が大きく異なることが明らかとなり、ある条件では低性能に見える触媒でも、別の条件では優れた性能を示し得ることが分かりました。また、既知反応の条件に限定した場合を上回るメタン転換収率が得られるとともに、従来のように目的生成物を定めた探索では見つけられない未知反応の芽も見いだしました。
本研究成果は、既知の反応を改良するだけでなく、広大な探索空間から未知の価値を持つ触媒プロセスを発見する「反応探索基盤」の有効性を示すものです。今後は、探索する基質、触媒、反応条件の範囲を拡張するとともに、ハイスループット実験と機械学習を組み合わせることで、カーボンニュートラル社会の実現に必要なさまざまな触媒プロセスの開拓へ展開できると期待されます。
本研究成果は、2026年7月8日(ワシントンD.C.時間)付で米国の科学誌「ACS Catalysis」のオンライン版に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 未来社会創造事業 探索加速型 本格研究(No. JPMJMI25G1)の支援を受けたものです。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(1.19MB)
<論文タイトル>
- “Catalyst and Catalysis Co-exploration in Methane Utilization”
- DOI:10.1021/acscatal.6c03318
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