ポイント
- 複合金属酸化物を前駆体とした電気化学還元により、熱力学的平衡状態では得られない準安定相の銅–インジウム金属間化合物CuIn2をナノ粒子として初めて合成することに成功した。
- 複合金属酸化物からの酸素脱離を伴う非平衡構造再編成によってCu2Inコア/CuIn2シェル構造が形成された。その結果、得られた粒子は二酸化炭素(CO2)還元反応において水素発生を強く抑制する特徴的な反応選択性を示した。
- 本成果は、電気化学反応を利用して熱力学的安定相では得られない準安定な金属間化合物を創製する新しい材料設計指針を示すものであり、次世代触媒や機能性材料の開発への展開が期待される。
材料の相図には現れない準安定相を創製することは、新しい機能材料の開発につながる重要な課題です。東京都立大学 大学院理学研究科 吉川 聡一 助教と北海道大学 触媒科学研究所 宮崎 玲 助教らの研究グループは、電気化学反応を利用することで、準安定な銅(Cu)–インジウム(In)金属間化合物CuIn2をナノ粒子として初めて合成することに成功しました。
研究チームは、複合金属酸化物Cu2In2O5を前駆体としてCO2還元反応を行うことで、Cu2Inコア/CuIn2シェル構造を有する複合ナノ粒子が形成されることを発見しました。得られた粒子はCO2還元反応において水素(H2)発生反応を顕著に抑制する特徴的な反応選択性を示しました。
本成果は、複合金属酸化物の電気化学的構造変換を利用して、従来の熱平衡論的な材料合成法では得られない準安定な金属間化合物を創製できることを示したものであり、新しい触媒や機能性材料の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2026年7月1日(日本時間)に、米国化学会(American Chemical Society)が発行する学術誌「The Journal of Physical Chemistry Letters」に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 ACT-X 「トランススケールな理解で切り拓く革新的マテリアル」(JPMJAX23D7)、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(JP24K17562、JP24K17554、JP24K01259、JP24H02217、JP24A202)の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Nonequilibrium Electrochemical Synthesis of Cu–In Intermetallic Compound Nanoparticles for Selective CO2 Reduction”
- DOI:10.1021/acs.jpclett.6c01116
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