ポイント
- 低環境負荷材料として注目される脂肪族ポリカーボネート(APC)のデータ数が少ないガラス転移温度(Tg)に対し、機械学習を用いることで、予測の「不確実性」を含めて算出する手法を開発しました。
- 複数の機械学習法と記述子を組み合わせ、上位5モデルを選択して統合する「アンサンブル機械学習」により、従来の単一モデルよりも信頼性の高い予測が可能となることを明らかにしました。
- 本成果は、カーボンニュートラルの実現に向け、データが限られているバイオベース・生分解性ポリマーの効率的な材料設計に大きく寄与します。
京都工芸繊維大学の繊維学系 福島 和樹 教授、伊藤 琉乃介 博士前期課程学生(大学院工芸科学研究科 バイオベースマテリアル学専攻)、佐藤(村上) 満佳子 研究補助員、東京大学 大学院新領域創成科学研究科の天本 義史 特任准教授、伊藤 耕三 特別教授らの研究グループは、アンサンブル機械学習を活用し、低環境負荷材料として期待される脂肪族ポリカーボネート(APC)のガラス転移温度(Tg)を高精度に予測するとともに、その予測値の信頼性を「不確実性」として定量化することに成功しました。
ポリマーの物性は化学構造だけでなく、分子量分布や熱履歴など多くの要因に左右されるため、単一の予測値を得るだけでは不十分でした。本研究では、複数の機械学習モデルを組み合わせることで、予測のばらつきを可視化し、より確かな材料設計を可能にしました。AIなどのデジタル技術を活用した環境低負荷材料の開発手法として、脱炭素社会の実現および資源循環型社会の構築に大きく寄与する成果です。
本成果は、2026年6月16日(現地時間)付で学術雑誌「Polymer Journal」にオンライン掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 未来社会創造事業「地球規模課題である低炭素社会の実現」領域 探索研究「天然分子リコンストラクトによる分解性ポリマーの高機能化」(JPMJMI21EH)、戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR24S1)、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構) ムーンショット型研究開発事業(JPNP18016)の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(1.54MB)
<論文タイトル>
- “Uncertainty-Aware Prediction of the Glass Transition Temperature of Aliphatic Polycarbonates Using Ensemble Machine Learning”
- DOI:10.1038/s41428-026-01208-y
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