茨城大学の北野 健太 講師ならびに青山学院大学の前田 はるか 教授らの研究グループは、共振器を用いることなく光の伝搬モードを制御するための新しい手法の開発に成功しました。
従来の共振器を用いた光の伝搬モードの制御は、極めて精密な制御を実現できる反面、実験条件に必ず制約が課されます。そこで近年、共振器を必要としない手法(共振器フリー)の開発が待望視されています。
本研究では、超蛍光と呼ばれる集団的な発光現象を独自の手法で制御することでこれを実現しました。フェムト秒レーザーパルスを2つに分離し、互いに交差させることで光の干渉縞(じま)を形成させます。この干渉縞を励起光とし、加熱したガラスセル中に封入したルビジウム原子に照射します。その際、2つのビームの交差角度を制御することで、干渉縞の縞間隔を1ナノメートルよりも十分に高い精度で制御します。電子励起状態に励起されたルビジウム原子からは、輻射(ふくしゃ)緩和過程に伴って波長1367ナノメートルの超蛍光が放射されます。干渉縞の間隔を掃引しながら超蛍光の強度を観測した結果、干渉縞間隔が超蛍光の半波長に共鳴した際に、超蛍光の指向性が顕著に現れることが確認されました。
本手法を用いることで、共振器フリーで、光の指向性、すなわち伝搬モードを超高速で制御することが可能となります。また、通常の気体に適用可能であることから非常に汎用(はんよう)性が高く、理学、工学を問わず広範な光科学分野への展開が期待されます。
この成果は、2026年6月11日(現地時間)付で「Physical Review Letters」誌に掲載されました。
本研究はJSPS 科学研究費助成事業(課題番号:JP25K00942)、JST 創発的研究支援事業(課題番号:JPMJFR246N)、JKAの支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(448KB)
<論文タイトル>
- “Cavity-Free Mode Control of Superfluorescence from Thermal Gas”
- DOI:10.1103/cbxq-8n45
<お問い合わせ>
-
<JST事業に関すること>
加藤 豪(カトウ ゴウ)
科学技術振興機構 創発的研究推進部
〒102-0074 東京都千代田区九段南3丁目3-6 麹町ビル3階
Tel:03-5214-7276
E-mail:souhatsu-inquiryjst.go.jp
-
<報道に関すること>
茨城大学 広報・アウトリーチ支援室
Tel:029-228-8008 Fax:029-228-8019
E-mail:koho-prgml.ibaraki.ac.jp
青山学院大学 政策・企画部 大学広報課
Tel:03-3409-8159
取材・撮影申し込みフォーム:https://www.aoyama.ac.jp/companies/interview.html科学技術振興機構 広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3 サイエンスプラザ
Tel:03-5214-8404 Fax:03-5214-8432
E-mail:jstkohojst.go.jp