ポイント
- 酸化セリウム(CeO2)上でアセチレン(C2H2)を化学気相成長(CVD)させると、酸素空孔形成に伴い、300度という低温からグラフェン構造が形成されることを見いだしました。
- これを利用して、CVDの反応温度を制御することで、グラフェン量子ドット、凝集グラフェン、多孔性グラフェンといった多様なグラフェン系材料を作り分けることに成功しました。
- 未利用・余剰炭化水素ガスを高機能カーボン材料へ変換する低温触媒炭素化プロセスの設計指針を示すものであり、資源循環型のカーボン材料創製への展開が期待されます。
グラフェンは、高い導電性や化学的安定性をもつ高機能カーボン材料であり、電池、触媒、吸着材などへの応用が期待されています。一方、従来の化学気相成長(CVD)法では一般に900度程度の高温処理が必要であり、低温で構造を制御しながらグラフェン系材料を合成することは困難でした。
東北大学 材料科学高等研究所のMengxuan Zhang 特任助教、西原 洋知 教授、同大学 多元物質科学研究所の吉井 丈晴 准教授およびロンドン大学クイーンメアリー校らの研究グループは、酸化セリウム表面において、アセチレンの分解反応が酸素空孔の形成を伴いながら、113度から始まることを見いだしました。この性質を利用することで、300度という低温のCVDでグラフェン構造が形成できることを明らかにしました。さらに、CVDの反応温度を調整することで、グラフェン量子ドット、凝集グラフェン、多孔性グラフェンを作り分けることに成功しました。
本成果は、未利用・余剰炭化水素ガスや有機資源を高機能カーボン材料へ変換する低温炭素化プロセスの設計指針を提示するものであり、資源循環型カーボン材料創製への展開が期待されます。
本研究成果は、2026年6月8日(米国東部時間)、米国化学会の学術誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR24S6)、同 さきがけ(JPMJPR23QA)、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI) 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期「マテリアル事業化イノベーション・育成エコシステムの構築」(JPJ012307)、近藤記念財団(2023-01)、「物質・デバイス領域共同研究拠点」における「人と知と物質で未来を創るクロスオーバーアライアンス」、Leverhulme Trust(RPG-2023-239)の支援を受け実施しました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Defect-Mediated Catalysis for Low-Temperature Formation of Graphene-based Materials”
- DOI:10.1021/jacs.5c20150
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