ポイント
- マイクロ流体デバイスを使わずに、細胞を内包した均一サイズのハイドロゲル微小カプセルを作製する手法を開発した。
- 一般的な実験設備のみで、数十万個規模の細胞入りカプセルを、マイクロ流体デバイスを使うよりもはるかに短時間に作製できることを示した。
- 創薬スクリーニングや3次元培養に必要な細胞カプセル化の導入障壁を大幅に下げる汎用(はんよう)的な基盤技術となると期待される。
東京大学 先端科学技術研究センターの太田 禎生 教授、千葉大学 大学院医学研究院の大瀧 夏子 特任助教、合田 有希 特任研究員らの研究グループは、マイクロ流体デバイスを使わずに、細胞を内包した均一サイズのハイドロゲル微小カプセルを大量に作製する手法「Emulsion-Templated Gel Embedding(ETE)」を開発しました。あらかじめサイズをそろえたゼラチンビーズをテンプレートとした一括液滴生成と温度制御により、細胞を内包した均一なゼラチンビーズを作製し、次にこの細胞入りゼラチンビーズをテンプレートとしてアガロースシェルを形成しました。結果、一般的な実験設備(ボルテックス装置と温度の上げ下げ)のみで、数十万個規模の細胞の入ったハイドロゲル微小カプセルを、マイクロ流体デバイスを使うよりもはるかに短時間に作製できることを示しました。得られたカプセル内では細胞が増殖し、3次元的な細胞集団を形成します。本成果は、新薬の開発や、細胞をより体の中に近い立体的な状態で調べる実験を、これまでより手軽に行えるようにする技術として期待されます。
本研究成果は、現地時間2026年5月21日に「ACS Biomaterials Science & Engineering」誌にオンライン掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ(JPMJPR24N3)、同事業 CREST(JPMJCR23B6)、ムーンショット型研究開発事業(JPMJMS2025)、革新的GX技術創出事業(GteX)(JPMJGX23B1)の支援を受けて実施されました。
また、本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)(JP21gm1210003、JP223fa627003、JP23tk0124003、JP22gm6710008、JP256f0137008)、日本学術振興会(JSPS) Core-to-Core Program(JPJSCCA20200006)、科研費(JP22K12797、JP25K18827)、学術変革領域研究(A)(JP25H01359)の助成を受けています。
さらに、本研究は、細胞科学研究財団、発酵研究所、武田科学振興財団、中谷財団、持田記念医学薬学振興財団の支援を受けて実施されました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(638KB)
<論文タイトル>
- “Emulsion-Templated Gel Embedding: A Microfluidics-Free Method for Scalable Cell Encapsulation in Hydrogel Microcapsules”
- DOI:10.1021/acsbiomaterials.5c02129
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