信州大学,科学技術振興機構(JST)

2026(令和8)年5月26日

信州大学
科学技術振興機構(JST)

光を自在に操るハイブリッドナノシートを開発

~光の吸収・反射・発光の統合とフォトニック構造の3次元可視化に成功~

信州大学 学術研究院 繊維学系の佐野 航季 准教授、信州大学 総合理工学研究科 繊維学専攻の油井 聖也 大学院生らによる共同研究グループは、光を自在に操るハイブリッドナノシートを合成するための普遍的なモジュール型戦略を確立し、ナノシートの自己組織化によって光の吸収・反射・発光という3つの発色原理を統合した多機能フォトニック結晶を実現しました。さらに、フォトニック構造の3次元可視化とフォトニック結晶の光学機能の動的制御にも成功しました。

ナノユニットが数百ナノメートル程度の間隔で周期的に配列したフォトニック結晶は光の反射に由来する構造色を示し、魅力的な光学プラットフォームとして多様な分野での応用が期待されています。特に、無機ナノシートは固有の2次元性と刺激応答性を示すことから、有望なナノユニットとして近年国際的な注目を集めています。しかし、無機ナノシートが本質的に抱える構造的・コロイド的な課題のために、ナノシート固有の性質やフォトニック結晶の形成能力を維持したままナノシートに対して追加機能を付与することは困難でした。

今回、共同研究グループはモジュール型戦略によって無機ナノシートの表面にさまざまなナノ粒子を修飾した機能性ハイブリッドナノシートの開発に成功しました。続いて、得られたナノシート間に働く相互作用を精密に制御して自己組織化させることで、光の吸収・反射・発光という3つの発色原理を統合した多機能フォトニック結晶を実現しました。さらに、フォトニック結晶を形成するナノシートの3次元可視化およびフォトニック結晶の光学機能の動的制御を実証しました。自己組織化構造を形成する個々のナノシートをウェット状態で3次元的に直接可視化できた点は、2次元物質分野における重要なブレークスルーです。本戦略のモジュール性によって複数機能の統合と光学機能の精密設計が可能となり、創発的な光機能を示す新規色材・インクや次世代スマートフォトニックマテリアルの創出を加速する新しい光学プラットフォームの確立が期待されます。

本研究成果は、2026年5月26日(現地時間)に英国の国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(JPMJFR223O)および戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR23O1)、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(JP23K23325)、クリタ水・環境科学振興財団の支援を受けて実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Multi-functional photonic crystals of modular nanosheets”
DOI:10.1038/s41467-026-70456-6

<お問い合わせ>

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