ポイント
- 放射光X線回折と逆モンテカルロシミュレーションにより、ニオブ酸化物結晶の中に従来の方法では見えない「隠れた分子」を発見しました。
- 発見した分子は、この物質の磁性と伝導性を支配している可能性があります。
- 結晶に潜む短距離相関を可視化する新たな解析手法の有効性を実証しました。本手法は、物質中に潜む新たな物理現象の発見につながることが期待されます。
東京大学 大学院新領域創成科学研究科の鬼頭 俊介 助教、西田 祥太 大学院生(研究当時)、徳永 祐介 准教授、有馬 孝尚 教授(兼:理化学研究所 創発物性科学研究センター センター長)、理化学研究所 創発物性科学研究センターの豊田 新悟 研究員、高輝度光科学研究センターの中村 唯我 研究員の研究グループは、ニオブ酸化物結晶の中に潜む「隠れた分子」を発見しました。
本研究対象のニオブ酸化物は磁性を持たない絶縁体ですが、その物性の起源は長年の謎でした。本研究グループは、大型放射光施設SPring-8におけるX線回折実験と、逆モンテカルロシミュレーションというデータ解析手法を組み合わせることで、典型的なX線回折強度の1万分の1以下という極めて微弱な散漫散乱信号の精密測定と解析に成功しました。その結果、結晶中の微小な原子変位を高精度に抽出し、4つのニオブ原子が分子のように振る舞う新しいクラスターの存在を明らかにしました。本成果は、この物質の非磁性絶縁体状態の起源を分子軌道の観点から解明するものであり、従来の結晶構造解析では捉えられなかった短距離相関の可視化を実現したものです。本研究で実証した手法は、物質中に潜む新たな構造や物理現象の発見につながることが期待されます。
本研究成果は、米国物理学会の科学誌「Physical Review Letters」に、2026年5月19日付(現地時間)で掲載されました。
本研究はJSPS 科学研究費助成事業(課題番号:JP24K17006、JP24H01644、JP24K00582)、JST 創発的研究支援事業(課題番号:JPMJFR2362)の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Linear tetramer formation in nonmagnetic pyrochlore niobate”
- DOI:10.1103/qq1h-lgbc
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