理化学研究所(理研) 環境資源科学研究センター 代謝システム研究チームの内田 開 研究員、平井 優美 チームディレクターの研究チームは、葛(クズ)の花に含まれるイソフラボンの一種、テクトリゲニンの生合成に関与する酵素遺伝子を明らかにし、出芽酵母でテクトリゲニンを大量生産できることを実証しました。
本研究成果は、希少な植物原材料を用いずに有用成分テクトリゲニンの生産が可能になることから、今後バイオテクノロジーを用いた有用物質の生産向上に貢献すると期待されます。
葛の花は古来、中国では漢方として用いられており、現在においては日本でもサプリメントなどとして広く利用されています。葛の花に含まれる有用成分の1つであるテクトリゲニンは、抗酸化活性や抗腫瘍活性などさまざまな有用な活性を示すことが知られています。しかしそれが、葛の花でどのように生合成されているのか、その実態は明らかになっていませんでした。
今回、研究チームは、葛のトランスクリプトーム解析(発現している遺伝子の情報を網羅的に調べる解析)結果を基に生合成に関与する酵素の候補遺伝子を選抜し、その機能を出芽酵母で発現させることで確認しました。その結果、イソフラボンの6位と呼ばれる位置を水酸化する酵素、およびメチル基転移酵素(メチル基を別の分子に移す酵素)の2つの酵素遺伝子の同定に成功し、葛におけるテクトリゲニン生合成経路を明らかにしました。さらに、これらの酵素遺伝子を導入した出芽酵母を用いて、大豆に多く含まれるイソフラボンである安価なゲニステインからテクトリゲニンを大量に生産可能であることを示しました。
本研究は、科学雑誌「Plant Biotechnology」オンライン版(現地時間2026年5月20日付)に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 革新的GX技術創出事業(GteX)「バイオものづくり」研究領域の「先端的植物バイオものづくり基盤の構築(研究代表者:大熊 盛也、JPMJGX23B0)」による支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(436KB)
<論文タイトル>
- “Identification of an isoflavone 6-hydroxylase involved in tectorigenin biosynthesis in kudzu (Pueraria montana var. lobata) and the efficient production of 6-methoxyisoflavones”
- DOI:10.5511/plantbiotechnology.26.0330b
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