ポイント
- 第3級アルキルアミンのγ位に存在するC–H結合のみを選択的に変換することに成功しました。
- α-アンモニオラジカルという化学種が分子内1,5-水素原子移動を引き起こすことを実証しました。
- 複雑な構造を持つ医薬品分子の後期段階修飾を達成しました。
関西学院大学 理学部の村上 慧 教授、榊原 陽太 助教、木之下 拓海 さん(理工学研究科 博士課程後期課程)、平手 和希 さん(理工学研究科 博士課程後期課程)、濱脇 康佑 氏(研究当時:理工学研究科 博士課程前期課程)、千葉 将真 氏(研究当時:理工学研究科 博士課程前期課程)、寺田 昂祐 氏(研究当時:理工学研究科 博士課程前期課程)らの研究グループは、第3級アルキルアミンの分子内で、窒素原子から離れた特定の位置(γ位:窒素原子から数えて3番目の炭素)のC–H結合を選択的に変換する新手法を開発しました。これにより、医薬品分子を含む多様な第3級アルキルアミンに対して、狙った場所に迅速に官能基(分子の性質を決める“部品”)を付け加えることが可能になりました。
本研究の鍵は、研究グループが2021年から独自に研究してきたα-アンモニオラジカルという化学種に、これまで見過ごされてきた反応性を見いだした点にあります。今回、α-アンモニオラジカルが分子内1,5-水素原子移動(1,5-HAT)と呼ばれる現象を起こし、ラジカル部位が分子内を移動することを実証しました。これにより、窒素原子のγ位にあるC–H結合からのみ選択的にラジカル(反応の起点となる活性種)を発生させ、そこから狙った官能基導入へつなげることに成功しました。
本成果は、医薬品分子のおよそ26パーセントに含まれる第3級アルキルアミン構造を、迅速かつ精密に改変できる技術につながるもので、既存医薬品の誘導体合成を効率化し、創薬研究を加速させることが期待されます。
本研究成果は2026年4月14日(現地時間)に、Nature社が刊行する「Nature Synthesis」に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(JPMJFR242C)、戦略的創造研究推進事業 さきがけ(JPMJPR20D8)の支援により行われました。さらに、日本学術振興会(JSPS) 科研費(JP22K20545、JP23K13753、JP24K01492、JP25K18042、JP25K22319)、UBE学術振興財団、武田科学振興財団、アステラス病態代謝研究会、上原記念生命科学財団、および池谷科学技術振興財団の支援を受けました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Taming Distonic Radical Cations for Precise γ-C–H Functionalization of Alkylamines”
- DOI:10.1038/s44160-026-01042-3
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