香川大学,科学技術振興機構(JST)

2026(令和8)年4月14日

香川大学
科学技術振興機構(JST)

極細ワイヤーを「あやとり」のように配置するだけで
高密度3次元マイクロ流路構造の作製に成功

~生物医学研究への応用と低コストによるデバイス作製に期待~

香川大学の寺尾 京平 教授と高橋 昂生 さん(研究当時:工学研究科 博士前期課程2年)は、細い金属ワイヤー(ピアノ線)を空間に張り巡らせるシンプルな方法により、微小な流路構造を持つ新しいマイクロ流体デバイスを作製する技術を開発しました。本研究では、細いワイヤーの束を「あやとり」のようにねじって配置することで、ワイヤーが途中の断面で自然に密集する幾何学的な原理を利用し、微小ノズルが高密度に集積した3次元マイクロ流路構造の作製に成功しました。

マイクロ流体デバイスは、細胞や組織を扱う生命科学研究、医療診断、創薬などの分野で重要な技術です。特に、微小なノズルから液体を吸引・吐出して試料の一部だけを選択的に処理する「マイクロ流体プローブ」は、細胞や組織の局所解析に有用とされています。しかし、従来のデバイスは半導体微細加工や高精度3D光造形などの高度な製造技術を必要とし、製造工程が複雑でコストが高いという課題がありました。

今回の研究では、細いピアノ線をあやとりのように空間に配置し、それを樹脂の型として利用するというシンプルな発想により、微小流路構造を作製しました。本手法により直径数十マイクロメートルの微小ノズルが高密度に並んだデバイスを作製することができます。さらに、それぞれのノズルは独立した流路に接続されており、吸引と吐出を個別に制御できます。これにより、細胞や組織のごく小さな領域を選択的に解析したり、特定の細胞を回収したりする技術への応用が期待されます。また、このような高密度の微小ノズル構造は、細胞や生体材料を積層して人工組織を作る「バイオプリンティング」にも応用でき、多数の微小ノズルを用いることで、従来よりも高い解像度で人工組織構造を形成できる可能性があります。

本研究成果は、2026年4月10日(現地時間)、バイオマイクロデバイス分野で代表的な論文誌「Lab on a Chip」誌に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(課題番号:JPMJFR212D)の支援により実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Facile fabrication of high-density two-dimensional micronozzle arrays using twisted thin-wire molds”
DOI:10.1039/D6LC00036C

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