京都大学,大阪歯科大学,大阪公立大学,科学技術振興機構(JST)

2026(令和8)年4月11日

京都大学
大阪歯科大学
大阪公立大学
科学技術振興機構(JST)

致死性脳炎を引き起こすボルナ病ウイルス1型の基本構造を解明

~核たんぱく質とRNAの立体構造を初めて可視化~

ボルナ病ウイルス1型(BoDV-1)は、ヒトや動物の命に関わる重い脳炎を引き起こすことがあるウイルスです。このウイルスは、エボラウイルスや麻疹ウイルス、狂犬病ウイルスなど、世界的に重要な感染症を引き起こすウイルスと同じ「モノネガウイルス目」と呼ばれるグループに属しています。こうしたウイルスでは、遺伝情報であるRNAと、それを包む核たんぱく質が結合した複合体が、ウイルスが増殖するための鍵となっています。しかし、ボルナウイルス科では、この複合体がどのような形をしているのか、長年にわたって解明されていませんでした。

今回、クライオ電子顕微鏡法を用いた構造解析により、BoDV-1の核たんぱく質-RNA複合体の立体構造を高解像度で明らかにしました。ボルナウイルス科において核たんぱく質-RNA複合体の構造が解明されたのは本研究が初めてです。

本研究は、BoDV-1が増殖する仕組みについての理解を深めるとともに、核たんぱく質とRNAの相互作用部位を標的とする薬の開発につながることが期待されます。また、モノネガウイルス目に属する近縁ウイルスとの比較を通じて、ウイルスの進化の理解にもつながると考えられます。

本研究は、京都大学 医生物学研究所 杉田 征彦 准教授(兼:大学院生命科学研究科)、後藤 真也 博士課程学生(大学院生命科学研究科)、藤原 拓朗 博士課程学生(大学院医学研究科)、朝長 啓造 教授(兼:大学院医学研究科)、野田 岳志 教授(兼:大学院生命科学研究科)らの研究グループが、大阪歯科大学 歯学部 平井 悠哉 講師、大阪公立大学 大学院獣医学研究科 堀江 真行 教授(兼:大阪国際感染症研究センター)らと共同で実施したものです。

本成果は、2026年4月10日(米国東部時間)に米国の国際学術誌「Science Advances」にオンライン掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構 創発的研究⽀援事業(課題番号:JPMJFR214S)、⽇本学術振興会 科学研究費助成事業基盤研究(B)(課題番号:JP24K02284、JP21H01199、JP23K20902)、京都⼤学 ウイルス感染症・⽣命科学先端融合的共同研究拠点、東京⼤学医科学研究所 国際共同利⽤・共同研究拠点、武⽥科学振興財団などの⽀援を受けて実施されました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Structure and assembly of Borna disease virus 1 nucleoprotein–RNA complexes”
DOI:10.1126/sciadv.aeb0835

<お問い合わせ>

前に戻る