ポイント
- 高い光安定性、耐熱性、化学安定性を有するシリコンを用いた構造色ナノ粒子インクを開発。
- インクジェット印刷により多彩なカラー画像の形成に成功。
- ナノ粒子の散乱・吸収特性により反射と透過で異なる色を示す印刷フィルムを実現。
神戸大学 大学院工学研究科の山名 裕斗 大学院生、杉本 泰 准教授、藤井 稔 教授らの研究グループは、色素や顔料を一切用いずに発色する「構造色ナノ粒子インク」を開発し、インクジェット印刷によって多彩なカラー画像を形成することに成功しました。従来の印刷では、色素や顔料が特定の波長の光を吸収することで色を表現していますが、これらの材料は紫外線や熱、化学反応などによって劣化し、退色するという課題があります。
本研究では、熱的・化学的に安定なシリコンからなるナノ粒子が粒径に依存して特定の波長の光を強く散乱する性質に着目し、粒径を制御したシリコンナノ粒子を透明樹脂中に分散させた水性カラーインクを開発しました。このインクを用いてインクジェット印刷を実証し、カラー画像の形成に成功するとともに、平面基板だけではなく3次元物体への直接着色も実証しました。さらに、粒子による光の散乱の透過方向と反射方向の非対称性により、反射時と透過時で異なる色を示す特殊な印刷フィルムの開発にも成功しました。
本技術は、色素や顔料に依存しない新しい着色原理を実用的な印刷プロセスへと展開するための基盤技術となります。
この研究成果は、2026年4月3日(現地時間)に、国際科学誌「Advanced Materials」に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 大学発新産業創出基金事業 ディープテック・スタートアップ国際展開プログラム(D-Global)(課題番号:JPMJSF2405)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 官民による若手研究者発掘事業(JPNP20004)、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(課題番号:JP24K01287、JP25K01608)の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(1.29MB)
<論文タイトル>
- “Structural Color Inkjet Printing with Mie-Resonant Silicon Nanoparticles”
- DOI:10.1002/adma.202523036
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