ポイント
- 3ギガ電子ボルト高輝度放射光施設NanoTerasu(ナノテラス)のナノCTと機械学習の1つであるマニフォールド学習を組み合わせ、多孔質構造のCTデータからガス拡散係数を短時間で予測する手法を開発しました。
- 本手法を固体高分子形燃料電池の触媒層に適用し、発電性能に関わるガス拡散係数を誤差約5パーセントの精度で予測できることを実証しました。
- 約10秒で予測できるため、多様な試料の性能をその場で比較でき、高出力・長寿命な燃料電池に向けた材料最適化への応用が期待されます。
クリーンエネルギーとして実用化が進む固体高分子形燃料電池では、触媒層で酸素や水素が反応することで電気エネルギーが生み出されます。触媒層に形成される複雑な多孔質構造は、反応ガスの通路かつ反応の場であり、発電性能を左右する重要な要素ですが、ナノスケールの微細構造であるため、非破壊観察やガス拡散特性の解析は容易ではありませんでした。
東北大学 大学院工学研究科の荒井 翔太 特任研究員と吉留 崇 准教授、同大学 国際放射光イノベーション・スマート研究センターの高山 裕貴 准教授は、ナノテラスで開発したX線タイコグラフィーによる非破壊ナノCT観察とマニフォールド学習を用いた解析を組み合わせ、多孔質構造とガス拡散係数の相関関係を構築してガス拡散係数を予測する一連の可視化解析技術を開発しました。本手法を固体高分子形燃料電池の触媒層に応用した結果、ナノCTデータからガス拡散係数を誤差約5パーセントの精度で予測できることを実証しました。また、約10秒で予測が可能であるため、材料の作製条件との対応付けや、高出力・長寿命化に向けた多孔質構造の設計・製法の最適化への応用が期待されます。
本成果は2026年3月26日付(現地時間)でエネルギーデバイス分野の専門誌「Journal of Power Sources」にオンライン掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「次世代放射光X線ナノCT計測の確立と展開」(課題番号:JPMJCR2233)の支援により実施されました。また、「東北大学 2025年度オープンアクセス推進のためのAPC支援事業」の支援を受けました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(841KB)
<論文タイトル>
- “Structure-based prediction of gas diffusion property of catalytic layer of proton exchange membrane fuel cells via manifold learning and X-ray ptychographic nano-computed tomography”
- DOI:10.1016/j.jpowsour.2026.239916
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