理化学研究所,慶應義塾大学,科学技術振興機構(JST)

2026(令和8)年3月27日

理化学研究所
慶應義塾大学
科学技術振興機構(JST)

脂質を包括的に可視化する新たな空間解析手法の開発

~多層的な質量分析イメージングで脂質の空間制御の解明に貢献~

理化学研究所(理研) 生命医科学研究センター メタボローム研究チームの内野 春希 特別研究員、津川 裕司 客員研究員、有田 誠 チームディレクター(慶應義塾大学 薬学部・薬学研究科 教授)の研究チームは、生体組織内の脂質分子を包括的かつ詳細に可視化する質量分析イメージング(MSI)の新手法「SMASH imaging(Serial MAldi-ms Strategy for High-resolution imaging)」を開発しました。

本研究成果は、脂質イメージングの網羅性と構造解析の正確性を向上させ、脂質分布の空間地図(リピドームアトラス)の構築を通じて、脂質が関与する加齢・発生・神経疾患・がんなどの生命現象や、病気の解明へ貢献することが期待されます。

従来の質量分析イメージング手法では、十分な分子情報を得るためには何度もレーザー照射が必要であるため、照射によって試料が消失し、同じ場所での連続計測は困難でした。つまり、計測回数が制限されるため1枚の組織から多様な脂質分子の空間地図を描くことは困難でした。本手法は、イオンを一時的に蓄積・濃縮してから分離するイオンモビリティー技術を活用することで、従来の10分の1という少ないレーザー照射回数でも必要な分子情報を得ることを可能にしました。また、従来の分析技術で得られた脂質プロファイルの結果と比較することで、本手法で得られる脂質分布の正確性を確認しました。さらに、1枚の組織切片の同じ場所で4回から12回の連続計測を実現し、マウスの脳組織切片1枚から400種類以上の脂質分子の分布を詳細に把握することに成功しました。

本研究は、科学雑誌「Analytical Chemistry」オンライン版(現地時間2026年3月26日付)に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造推進事業 ERATO「有田リピドームアトラスプロジェクト(研究代表者:有田 誠、JPMJER2101)」、ライフサイエンスデータベース統合推進事業 統合化推進プログラム「次世代低分子マススペクトルデータベース シン・マスバンクの構築(研究代表者:松田 史生、JPMJND2305)」、日本医療研究開発機構(AMED) ムーンショット型研究開発事業(JP22zf0127007)の支援を受けました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“SMASH Imaging: A Serial Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry Strategy for High-Resolution Imaging Facilitates Dual-Polarity and MS2 Spatial Lipidomics on a Single Tissue Section”
DOI:10.1021/acs.analchem.5c03738

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