日本大学,早稲田大学,理化学研究所,科学技術振興機構(JST)

2026(令和8)年3月23日

日本大学
早稲田大学
理化学研究所
科学技術振興機構(JST)

量子のもつれを“螺旋(らせん)”で読む

~個別制御に頼らない量子状態解析法を開発~

ポイント

日本大学 文理学部 物理学科の山本 大輔 准教授、同 自然科学研究所のGiacomo Marmorini(ジャコモ・マルモリーニ)研究員、および早稲田大学 理工学術院の福原 武 教授(理化学研究所 量子コンピュータ研究センター チームディレクター)からなる研究グループは、多数の量子ビットからなる量子多体系の状態を、個々の量子ビットを一つ一つ制御することなく解析できる新しい量子状態トモグラフィー手法を開発しました。従来の量子状態解析では、系が大きくなるほど測定や制御が複雑化するという課題がありました。

研究グループは、磁性体に現れるスピンの螺旋構造に着想を得て、「螺旋測定」と呼ばれる新しい測定方式を提案しました。この方法では、量子ビット全体に一様な操作を施すだけで螺旋状に変化する測定軸が得られ、個別の量子ビット制御を必要としません。さらに、「圧縮センシング」技術と組み合わせることで、少ない測定回数でも高精度な量子状態の推定が可能であることを示しました。

本手法により、量子情報処理の核心である量子のもつれを、大規模な量子系に対して現実的な条件下で評価できる道が開かれました。光格子中の冷却原子系など、個々の粒子を独立に操作することが技術的に難しい量子シミュレーターにおいて特に有効であり、量子技術を「より大きく、より複雑な系」へと拡張するための基盤技術として、今後の大規模量子シミュレーションや量子物性研究への応用が期待されます。

本成果は、2026年3月18日(現地時間)にアメリカ物理学会の発行する国際学術誌「PRX Quantum」に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ(物質と情報の量子協奏)「物質・情報・時空を統合する量子シミュレーション基盤の創出(研究代表者:山本 大輔)」(JPMJPR245D)、同事業 さきがけ(革新的な量子情報処理技術基盤の創出)「人工量子系における量子状態同定および量子もつれの定量化法の開発(研究代表者:山本 大輔)」(JPMJPR2118)、同事業 ERATO「沙川情報エネルギー変換プロジェクト(研究代表者:沙川 貴大)」(JPMJER2302)、同 ムーンショット型研究開発事業「大規模・高コヒーレンスな動的原子アレー型・誤り耐性量子コンピュータ(研究代表者:大森 賢治)」(JPMJMS2269)、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A) 計画研究「人工量子物質による量子ブラックホールの解明(研究代表者:手塚 真樹)」(JP21H05185)、同事業 基盤研究(B)「冷却原子実験を用いた空間異方性を持つ三角格子反強磁性モデルの研究(研究代表者:福原 武)」(JP23K25830)、同事業 基盤研究(B)「トポロジカル磁性体における電気磁気効果に起因する磁気光学応答(研究代表者:古川 信夫)」(JP23K22442)および同事業 基盤研究(C)「ホログラフィック双対性から導かれる新奇量子物性現象の開拓(研究代表者:山本 大輔)」(JP24K06890)の支援を受けて行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Measuring Entanglement Without Local Addressing in Quantum Many-Body Simulators via Spiral Quantum State Tomography”
DOI:10.1103/1xzz-njyy

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