ポイント
- シリコンのナノ粒子からなる光アンテナにより、局所的な円偏光のヘリシティを制御できることを示した。
- 光アンテナ近傍の円偏光特性について、二次元材料の円偏光選択ラマン信号を活用したナノスケール計測法を開発した。
- 本技術は、創薬において重要なエナンチオマーの識別や、円偏光により選択的に誘起される新しい化学反応への応用が期待される。
神戸大学 大学院工学研究科のモジタバ・カリミ・ハビル 研究員、杉本 泰准 教授、藤井 稔 教授らの研究グループは、ナノサイズのシリコンからなる光アンテナ近傍に形成される光の円偏光特性を制御するとともに、その円偏光特性を実験的に計測する新しい方法を開発しました。光アンテナにより形成されたナノスケールの光場では、光の強度だけでなく、円偏光の回転方向(ヘリシティ)が局所的に大きく変化し、これにより光と物質の相互作用の状態が大きく変化します。しかし、これまでアンテナ近傍における円偏光の空間分布を制御し、かつ実験的に計測することは極めて困難でした。
本研究では、ナノ構造近傍における光のヘリシティを制御可能な光アンテナ設計と、その円偏光特性を直接評価する計測手法を確立しました。本技術は、円偏光に敏感な光と物質相互作用をナノスケールで理解・制御するための基盤技術となるものであり、創薬分野における鏡像異性体(エナンチオマー)の識別や、円偏光によって誘起される新しい化学反応の開拓などへの応用が期待されます。
この研究成果は、2026年2月24日(日本時間)に国際科学誌「ACS Photonics」に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業 北川パネルにおける研究課題「誘電体ナノアンテナの増強キラル近接場による不斉光反応場の創成」(課題番号:JPMJFR213L)、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(課題番号:JP24K01287、JP24KF0158、JP25K01608、JP25K22206)の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(1MB)
<論文タイトル>
- “Tailoring the Helicity-Resolved Raman Response of MoS2 Coupled to Mie-Resonant Silicon Nanospheres”
- DOI:10.1021/acsphotonics.5c02955
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