ポイント
- 従来のフィルム型ひずみゲージの感度を圧倒的に凌駕(りょうが)する「スピン力学センサー」が、10万回を超える引っ張り試験後も特性劣化を示さず、実使用環境を想定した耐久性を世界で初めて実証
- 繰り返し大きく変形するフレキシブル基材上での長期安定動作は未検証であったが、高感度と高耐久性の両立を証明
- 高感度・低消費電力・低電圧駆動に加え、実用化の障壁となっていた高耐久性を兼ね備えた新センサーの登場により、フィジカルとサイバー空間をつなぐインターフェースの高度化への貢献に期待
大阪大学 産業科学研究所の千葉 大地 教授(兼 東北大学 国際放射光イノベーション・スマート研究センター センター長)らの研究グループは、磁性体ナノ薄膜からなる磁気トンネル接合(MTJ)素子をフレキシブル基材上に形成した「スピン力学センサー」において、実使用環境を想定した高い耐久性を世界で初めて実証しました。
本研究において、フレキシブル基材上に形成したスピン力学センサーに対して、10万回を超える繰り返し引っ張り試験を行った結果、特性劣化を示すことなく安定した動作を維持することを確認しました。
これまで、MTJは磁気メモリーや磁界センサーとして実用化されてきた一方で、繰り返し大きく変形するフレキシブル基材上における長期安定動作については十分に検証されていませんでした。本研究成果は、高感度という特長を保ったまま高耐久性を両立できることを示したものであり、スピン力学センサーが実用的なフィルム型ひずみゲージとして利用可能であることを明確に示しています。
さらに、本成果は、高感度・低消費電力・低電圧駆動という特長に、実用化の壁を超える耐久性が加わった新センサーの登場を意味し、フィジカルな情報をサイバー空間へと高精度につなぐ次世代センシング技術の基盤となることが期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「APL Electronic Devices」に、2026年2月17日(火)(現地時間)に公開されます。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム A-STEP産学共同(本格型)(課題番号:JPMJTR233A)、同 戦略的創造研究推進事業 CREST(課題番号:JPMJCR20C6)の一環として行われ、一部は日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(課題番号:JP23H00183)、文部科学省 次世代X-nics半導体創生拠点形成事業(課題番号:JPJ011438)、スピントロニクス学術研究基盤と連携ネットワーク拠点の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(705KB)
<論文タイトル>
- “Flexible magnetic tunnel junction-based strain sensor with over 100,000-cycle endurance”
- DOI:10.1063/5.0293081
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