ポイント
- 腸内のかき混ぜは、ぜん動によって腸内に流れ(輸送)を生み出し、栄養を腸壁の近くまで運んでいることを示しました。
- ゼブラフィッシュ幼生を用いて、腸の動き・腸内の流れ・栄養吸収を直接可視化し、吸収量が腸内の流れの強さで定量的に説明できることを明らかにしました。
- 炎症時にはかき混ぜが弱まり腸内の流れが停滞し、栄養が届きにくくなり吸収が低下すること、健康な状態と炎症状態のデータが同じ関係で整理できることを示しました。
栄養が腸から吸収されるためには、栄養分子が腸壁の近くまで運ばれ、そこで取り込まれる必要があります。腸は自ら動くぜん動によって内容物を混ぜたり流したりし、内容物の運ばれ方を調整していると考えられますが、その仕組みと吸収との関係は十分に解明されていませんでした。
東北大学 大学院工学研究科の菊地 謙次 准教授らの研究グループは、体が透明で観察に適したゼブラフィッシュ幼生を用い、腸の動き(ぜん動)、腸内の流れ、栄養の吸収を同時に測定しました。
その結果、腸の「かき混ぜ」が腸内の流れを左右し、栄養が腸壁まで届きやすくなることで吸収量が変化することが分かりました。また、炎症が起きると腸の形や動きが変化して流れが弱まり、吸収が低下することも示されました。
本研究により、炎症時の吸収低下を、腸壁の機能だけでなく、腸内での「流れ(輸送)」の弱まりとして捉え直し、定量的に説明できる道筋が示されました。
本研究成果は、2026年2月3日(米国時間)に流体科学分野の専門誌「Physics of Fluids」にオンライン掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業(JPMJFR2024)、同 次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)(JPMJSP2114)、および日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(JP21H04999、JP19H02059、JP21H05306、JP21H05308)の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “A Taylor dispersion framework links peristaltic flow to glucose absorption in the intestine of zebrafish larvae”
- DOI:10.1063/5.0311805
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