ポイント
- 航空機の振動や風力発電の騒音など、非定常現象が引き起こす課題の解決において重要となる時間変化する空気の流れを、AI(人工知能)を用いて、直接数値計算の約0.55パーセント(およそ180分の1以下)という極めて低い計算コストで、高精度に予測する技術を実証しました。
- 従来のAI流体シミュレーションの多くは「定常(平均的)」な流れを対象としていましたが、「渦の放出周波数」などを直接学習させました。
- 本技術により、航空機や風力発電機の開発速度が飛躍的に向上し、安全で高効率な次世代製品の早期実用化への貢献が期待されます。
航空機や自動車、風力発電機などの開発現場では、空気抵抗や騒音を予測するために流体シミュレーションが不可欠です。自然界の風は、常に強さや向きが変化する「非定常」なものです。しかし、近年盛んなAI流体シミュレーションの多くは、時間変化しない「定常」な流れを対象とし、現場が知りたい「振動」を扱える技術は確立されていませんでした。
東北大学 流体科学研究所の川端 敦仁 大学院生、焼野 藍子 准教授らの研究グループは、メルボルン大学のリチャード・サンドバーグ 教授らとの共同研究で、シミュレーションを実行しながらAIが学習する「CFD駆動型機械学習」を進化させ、渦の放出周波数などをAIに直接学習させました。これにより、設計現場で使える軽い計算負荷のまま、高い精度で非定常現象(渦の発生や変動)を再現することに成功しました。本成果は、計算コストの壁を取り払い、安全性や静粛性に優れた製品開発を劇的に加速させるものです。
本研究成果は、2026年1月29日付(現地時間)で、計算流体力学分野で世界トップクラスの評価(Q1)を得ている国際学術誌「Engineering Applications of Computational Fluid Mechanics」に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR24Q6)、創発的研究支援事業(JPMJFR222R)、日本学術振興会(JSPS) 科学研究費助成事業(JP23K26030)、研究拠点形成事業(JPJSCCA20210005)、オーストラリア研究会議(ARC) Linkage Project(FT190100072)、および東北大学 流体科学研究所 共同利用・共同研究プロジェクト(J24I050)の支援を受けて行われました。
<プレスリリース資料>
- 本文 PDF(380KB)
<論文タイトル>
- “A Machine Learning-Based Closure for Unsteady RANS Simulations of Vortex Shedding”
- DOI:10.1080/19942060.2026.2619155
<お問い合わせ>
-
<JST事業に関すること>
櫻間 宣行(サクラマ ノリユキ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ICTグループ
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K's五番町
Tel:03-3512-3526 Fax:03-3222-2066
E-mail:crestjst.go.jp
-
<報道に関すること>
東北大学 流体科学研究所 国際研究戦略室 広報担当
Tel:022-217-5873
E-mail:ifs-kohogrp.tohoku.ac.jp
科学技術振興機構 広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
Tel:03-5214-8404 Fax:03-5214-8432
E-mail:jstkohojst.go.jp