ポイント
- 複雑な数学的構造を持つため理解が困難だった「非可逆対称性に守られたトポロジカル相(SPT相)」の一種が、物理学でよく知られた「自発的対称性の破れ(SSB)」と等価であることを、「双対性」を用いて解明しました。
- 任意の次元において、これまで未解決だった物理的・数学的に重要な「Rep(D8)型」と呼ばれるクラスの非可逆対称性を持つSPT相の分類に成功し、具体的な模型も構成しました。これにより、新たな量子相の存在が予言されました。
- 本成果は、新たな量子物質の設計や、量子計算のリソースとしての応用など、量子技術の発展に向けた理論的な礎となることが期待されます。
南デンマーク大学のWeiguang Cao(ウェイグァン・ツァオ)研究員、東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻および東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU,WPI)の山崎 雅人 教授、ゲント大学(論文発表時、現在ペンシルバニア州立大学)のLinhao Li(リンハオ・リー) 研究員らによる研究グループは、「双対性(duality)」と呼ばれる手法を用いることで、「非可逆対称性(non-invertible symmetry)」によって守られたトポロジカル相(SPT相)の分類と構成法を確立することに成功しました。
本研究では、双対変換を用いることで、非可逆対称性を持つSPT相という難解な問題を、「従来の対称性が自発的に破れる相(SSB相)」という、よく知られた物理現象の問題に既存の理論で扱える形に変換できることを示しました。これにより、任意の次元における非可逆対称性を持つSPT相の分類が可能となり、さらに具体的な模型の構成にも成功しました。先行研究と比較して、本研究の新規性は大きく2点あります。複雑な非可逆対称性の問題を従来の物理学の言葉で直観的に理解可能にした点、および任意の次元での分類を与えた点に新規性があり、この研究成果は新たな量子相の探索や量子計算のリソース探究に役立つことが期待されます。
本研究成果は、2026年1月31日(米国東部時間)「Physical Review Letters」に掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「物質と情報の量子協奏」(グラント番号:JPMJPR225A)、同 ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」(グラント番号:JPMJMS2061)」、科研費「基盤(B)(課題番号:JP23K25865)」、「挑戦的研究(萌芽)(課題番号:JP23K17689)」、「学術変革領域(A)(課題番号:JP20H05860)」の支援により実施されました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Duality viewpoint of noninvertible symmetry protected topological phases”
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