ポイント
- 天然物由来の桂皮酸やグリセリンなどから誘導した光反応性モノマーに対して光照射することで、水溶媒において開始剤や触媒を一切使用せずに、分解性高分子カプセルが合成できる重合技術を開発。
- 色素や香料を安定して内包できる分解性高分子カプセルが簡便に作製でき、光分解または加水分解によりモノマーや自然界に存在する物質への分解が可能。
- 合成プロセスの安全性を維持しつつ、合成規模を従来の100倍に拡大することで、大規模合成への可能性を示した。
高分子カプセルは薬剤や香料などの機能性物質を封入できるため、機能性化粧品や日用品など幅広く利用されています。しかし、従来のカプセルは非分解性高分子が用いられているため、自然環境で分解されにくく、海洋マイクロプラスチック問題の一因として生態系や人の健康への影響が指摘されています。
大阪公立大学 大学院工学研究科の北山 雄己哉 准教授、山下 美里 大学院生(博士前期課程2年)、原田 敦史 教授らの研究グループは、天然物由来の桂皮酸やグリセリンなどから誘導した光反応性モノマーに対して光照射することで、開始剤や触媒を一切使用せず、水溶媒において分解性高分子が合成できる重合技術(界面光環化付加重合)を開発しました。その結果、分解性高分子カプセルが簡便に作製でき、光分解または加水分解により、モノマーや自然界に存在する物質へ変換することが可能になりました。この高分子カプセルには、低分子蛍光色素や香料を安定して内包できます。
また、合成プロセスの安全性を維持しつつ、合成規模を従来の100倍に拡大しました。さらに、数100ミリリットルスケールでの合成を実証することで、大規模合成への可能性を示しました。本研究結果は、化粧品や香料など幅広い分野への応用と、従来の高分子カプセルによる環境問題の解決への貢献が期待されます。
本研究成果は、2026年1月15日(現地時間)に国際学術誌「Chemical Science」にオンライン掲載されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ(JPMJPR24M3)、日本学術振興会 科学研究費助成事業(JP21H02004、JP23K21137、JP24K01559)の支援を受けて実施しました。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
- “Interfacial photocycloaddition polymerization: a synthetic approach for structurally functionalized degradable polymer particles from naturally derived monomers”
- DOI:10.1039/d5sc07979a
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